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カープ優勝の感動を、無理やり経営の学びに落とし込んでみた

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2016年9月10日、広島東洋カープが25年ぶりのリーグ制覇を決めた。

広島とは縁もゆかりもない僕だが、中学で野球を本格的に始めた頃から、天才・前田智徳とカープの打撃陣の思い切りの良さに魅了され、以来20年以上にわたってファンを続けてきた。そして、多くの若い世代のカープファンと同じように、リーグ制覇の瞬間を初めて目撃して、テレビの前で号泣したわけだ。

本当に、感動した。感動しすぎて、まったくその余韻が消える気配がない。

いまこうしているときも、黒田と新井が抱き合った瞬間の情景(下の写真を参照)が脳裏に浮かんで目頭が熱くなってしまう。もはやカープのことを考えないようにしても無理なので、開き直って、カープ優勝の要因を自分なりに勝手に分析して、そこから自団体の経営の参考になることを考えてみようと思い立った。

完全に自分の趣味なので、誰にどんな誹謗中傷を受けようとも、迷わず書き進めていこうと思う。

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↑カープファンとしては一生忘れられない名場面(日刊スポーツより)

おそらく、これから多くのメディアが「なぜあの弱かった広島が今年優勝できたのか」を論じていくだろう。
そして、その中心に来るのは、こんな話題になるはずだ。

・若手の野手(田中/菊池/丸に加え、鈴木誠也)が活躍・急成長した
・ベテラン(黒田/新井)が精神的支柱としてチームを引っ張った
・外国人選手の起用が大当たりして、シーズンを通じて活躍した
・去年まで不安要素だった中継ぎと抑えが安定し、投打が噛み合った

このあたりがカープが優勝できた理由なのは、紛れも無い事実だ。でも、今回の快進撃には、それ以外にも様々な背景があったように思う。弱小チームが圧倒的な強さで優勝するというストーリーからは、きっと多くのことが学び取れるはずなのだ。

そこで、経営にも通じそうなことを切り取って、カープ優勝の要因を独断と偏見で5つほど語ってみたい。

1.勝ちグセがついた

いきなりバカっぽい理由だが、今年のチームが優勝できた一番の理由は「勝ちを積み重ねられたから」だと思う。今年のチームは戦力的にもたしかに強かったが、何よりも、序盤に勝ちグセがついたことが大きかった。勝ちが重なることで、選手たちの間に「今日もいける」という雰囲気が日に日に醸成されていったのだ。

また、選手たちが共有していた勝ちパターンというのが、「逆転勝ち」という最強の勝ちグセだったのが強烈だった(広島は現時点でリーグ断トツの43回の逆転勝ちを収めている)。どんなに負けていても「今日も絶対ひっくり返せる」と選手たちが本気で信じているわけだから、相手チームとしては嫌でたまらない。

団体の経営で考えてみても、「勝ちパターン」の組織内での浸透は非常に重要なことではないだろうか。

何をすればチームが成果を上げられるのか、その成功パターンをメンバーが共有できているかどうかで、チーム力は大きく変わってくる。そして、勝ちパターンを浸透させるためには、やはり試合に勝たないといけない。どんなに見事な戦略を考えても、それが成果に繋がっていなければ意味がない。まずはとにかく成果を出すことしか、勝つための道はないのだ。

2.負けても打たれても、切り替えができた

続いても非常にアホっぽい理由だが、負けても切り替えができたというのも、実にスゴいことだったと思う。

今年のカープはここまで4連敗が1回あるだけで、それ以上の連敗は経験しておらず、あとは全てを2連敗までで止めている。また、これはデータがないけれど、特定の回にずるずると大量失点するようなケースもほとんど見られなかったと記憶している。要するに、大崩れしなかったのだ。

メジャーから帰ってきた黒田投手が若手投手に口酸っぱく言っていたのは、「1点取られても落ち込まずに、大崩れしないこと」ということだったらしい。ベテランの黒田らしい言葉だが、「自分の調子が悪い時にも、悪いなりに試合をつくるのが大事」なのだそうだ。自分の調子が悪いことを受け入れ、それでも何とか通用する球種を見極めて、それで何とか試合をつくっていく。これが黒田の姿勢であり、今年のカープの姿だった。

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これはそのまま経営に活かせることだと思う。

ピンチに陥っても冷静さを保ち、失ったもののことは考えず、「いま自分たちの持っているもの」や「通用していること」に目を向ける。そして、自分のいまのパフォーマンスを最大化することに注力することが、負のスパイラルに陥らないための絶対的な秘訣なのだ。

3.健全な危機感を持っていた

実は今年のカープは前評判が高かったわけではない。むしろ去年の方が、前田健太という絶対的なエースがいるところにメジャーから黒田が帰ってくるということで、リーグ制覇への期待は高かった。あらゆる専門家の分析でも、昨年は可能性があったものの、今年は前田健太が抜けることもあって、優勝の可能性は非常に低いと予想されていた。

だが、往々にしてスポーツでは、こうしたカリスマ的なパワーを持つ選手が抜けることで、逆に組織に健全な危機感が生まれ、それがプラスに作用するということが起こる。今回も、前田健太がいなくなったという危機感を、他の選手たちが一様に共有していたことが大きかったように思う。(無論、前田健太の移籍金20億円で様々な補強ができたことも同じくらい大きかったが…)

ある特定の強いプレイヤーが1人いて活躍しているチームよりも、健全な危機感を共有して1人1人が必死に頑張るチームの方が強いというのは、スポーツの世界だけでなく、どんな世界でも当てはまることなのではないかと思う。

4.球場(つまりはファン)に投資した

優勝インタビューのときに選手が口々に「球場が変わったのが大きかった」と言っていたのが、僕にはとても印象に残った。

広島カープは2009年にホーム球場を新設しているが、これがかなりの気合いの入ったスタジアムだった。球団職員がアメリカ視察を繰り返して、広島ならではの魅力的なスタジアムを考案し、広島の産業界が思い切り尽力してつくったのが、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム(通称:ズムスタ)だ。

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「カープ女子」なる言葉が社会現象のようになるなど、カープファンが急増して観客動員数が一気に増えていったのは、このスタジアムの新設をきっかけにしてのことだった。そして、当然ながら、ファンが増えることで、選手たちも気合い入る。ファンの期待が高まっていくのに応えて、「いつまでも低迷していてはダメだ」という意識が芽生えていったのだ。

つまり、広島の快進撃は、選手・監督の頑張りだけではなく、まったく勝てずに低迷していた時代に、「ファンを増やす」ことを中心に据えて、球団側が思い切った未来への投資を決断したことから始まったと言える。

やはり、思い切った攻めの一手がなければ、チームの飛躍はあり得ないと思う。そうした英断をチームの低迷期にできたということが、広島カープの転換点となったのだ。

5.前監督の投資が花開いた

最後に、前監督である野村謙二郎氏の貢献が大きかったことを挙げたい。

野村氏が2013年に3位となり初のCS進出を果たすまで、カープは実に15年間に渡ってBクラス(4位以下)に甘んじていた。その状況を変え、CS進出を果たすとともに優勝を狙えるチームにまで成長させたのが、野村氏だった。

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野村氏は、在任中にチーム力を高めただけでなく、とにかく若手にチャンスを与え続けた。もちろんその中には芽の出た選手もそうでなかった選手もいたが、彼の選手起用を見ていると、そのシーズンだけではなく、確実にその先を見据えたものだったことが伺える。

そして、緒方新監督になって2年目の今年、野村氏が種を蒔いた若手たちの活躍を1つの原動力として、歓喜の瞬間を迎えたわけだ。

人への投資がいかに大切であるか。そして、偉大な成果を達成するには、いかに長期的な目線での我慢が必要であるか。野村氏の目線からは、そんなことが読み取れるように思う。


・・・以上、独断と偏見に基づいた、5つのカープ優勝の要因を書いてみた。

改めて、カープ、感動をありがとう!
ファンをしていてよかったです。

なんだか少しスッキリしたので、そろそろ寝ようと思います。
ではでは、おやすみなさい。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 明日9月2日(金)に初の著書が発売になりました。よろしければご笑覧ください!

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1ヶ月間の育休での気付きと学び

早いもので、第2子の誕生に合わせた1ヶ月間にわたる育休があっという間に終わって、今日から仕事に本格的に復帰する。

色々な人に応援してもらって、男性経営者が育休を取るというあまり一般的でないことを経験できたので、せっかくなので、今回の気付きを備忘録的に僕なりにまとめておきたいと思う。

「育休が休暇などでなくいかに目まぐるしい時間なのか」
「家事や子育てというものがどれだけ大変かを実感できるか」

そのあたりのことについては、タレントのつるの剛士さんが共感することの多い素晴らしいブログを書いているので、そこに譲りたい。僕としては、日々仕事に追われるビジネスパーソンが育休を取ることの意味に絞って、3つの観点で書いてみたい。


① 「1つ1つのことを噛みしめる感覚」の実感

我が家は共働き家庭で、普段の平日は夫婦揃って仕事を中心に生活が回っている。そのため、朝食の準備・保育園の送り迎え・お風呂・寝かしつけといった家事や育児は、なんというか、短時間で効率的に終わらせなければいけない「タスク」として処理されていたように思う。

今回もはじめの1週間くらいは新しい生活にも慣れずに、家事・育児を以前と同じように「タスク」として必死にこなしていた。が、中盤からは、目の前の洗い物や洗濯に、こだわりを持って臨めるようになっていった。そうなると、不思議な事に、家事と育児は「ねばならないタスク」ではなくなり、「かけがえのない時間」に変わっていった気がする。

娘と過ごす時間も、たとえばお祝いごとの準備なんかも、これまでは「なんとかやってあげなきゃいけないこと」だったのが、「どうやったら一番喜ぶだろう」とかをニヤニヤしながら考えて全力で準備をして、実際に喜ぶ顔を見たら涙が出るほど嬉しかったりと、信じられないほど幸せを感じる時間になった。

あぁ、これまで僕は、目の前のとっても大事で幸せなことをスルーして生活してしまっていたんだなぁ・・・

今回、家事・育児に全力でコミットする機会をもらって気付いた一番大きなことは、そんなことだったと思う。

大げさに言えば、これは人生観が変わるくらいの気付きだった。今日からまた仕事に戻るわけだけど、これからも今回の「日々を噛みしめる感覚」を大切に生きていきたいと心から思う。


② オーナーシップの大切さ

仕事でも家事・育児でも共通しているのは、どちらも1人でやることではないという点だ。職場では同僚と、家庭ではパートナーや家族と分担してチームで取り組む。

そして、チームで取り組むことには、共通した真理がある。仕事で大事なことは家庭でもやっぱり大切なわけで、僕にとってそれは「オーナーシップ(当事者意識)」ということだった。

今回は、妻の産後直後ということで、「上の子の面倒を見ること」と「家事全般をすること」についての権限が全面的に僕に委譲されたわけだ。これまでは正直、自分はどこかサポーター役的にやっていたことを、自分が全部やる「権限」と「責任」を持ったことになる。これによって、僕の育児や家事に対する目線は一気にあがった。

これまでは、自分がサポートするのに必要なことだけを把握していればよかったのが、全体観を保つ必要が出てくる。

これまでは妻の聖域だった台所の細かい部分だとか、娘の洋服ダンスの収納の仕方など、そういった部分も含めて、自分が責任を持つ必要があった。(そのため僕は1週目にこのあたりの大掃除をさせてもらって全体の把握をしたのだけど、それは大正解だったように思う)

色々な人のブログとかを見ていると、夫の育休中には夫婦のケンカがすごく増えると聞くけれど、幸いにも、我が家ではあまりそういうことにならなかった。

僕は曲がりなりにも責任を持つ意識を持っていたし、妻は、文句ひとつ言わず(少しはあったけど)、基本的に家事・育児初心者の僕に全部を任せてくれたからだ。

仕事と同じで、やはり大事なのは「当事者がオーナーシップの意識を持つこと」と、周囲が「そのオーナーシップを尊重して権限委譲する」ということなのかもしれない。


③ 究極の「時間ダイエット」

仕事面では、僕はこの育休の期間中も、限定的ではあるけれど、平均すると毎日1-2時間くらいはメールの対応や重要な意思決定を中心に、本業の仕事を続けていた。(オフィスには行かず、外部アポもゼロでした)

いつもに比べたら仕事にかける時間というのは普段の10%くらいだったという感覚だ。

でも、本当に重要なことに絞って仕事をせざるを得なかったので、当然無駄な時間の使い方などはしておらず、普段よりも圧倒的に高い密度で仕事をしていたように思う。

なんというか、余計な脂身とか贅肉みたいなものを削ぎ落として、限界に近いくらいに筋肉質になったような感覚だ。

普段自分が「これは間違いなく必要」と思っていたことが、どれだけ無駄なものだったか、あるいは、誰かに任せることができるものだったか、そんなことを痛感させられたような気分だ。

仕事についても、家庭についても、「何が自分にとって大切な時間」か、「何が自分が時間を使わなくていいことか」を、自分の時間の使い方が思い切り変わることによって、見直す期間になったように思う。

+++

以上、すごく偏りがある内容だけど、3つの観点で書いてみた。

一番言いたいのは、育休は一人ひとりの人にとって大きな学びがあるのと同時に、人生を思い切り豊かにしてくれるはずなので、ぜひ1人でも多くの男性ビジネスパーソンにまとまった期間の育休を取って欲しいということだ。

特に管理職や経営者の人は「いや、そんなの無理」となってしまうかもしれない。でも、不可能なんてない。僕の場合は、去年の暮れに経営陣に相談した上で、年初にチーム全体に宣言をすることで、それを前提にして動くことで、実際に予定通り取ることができた。

あと、もう1つ、完全に仕事を離れることができないという人は、僕のようにリモートワークで少し仕事をするというスタイルでの育休でも、いいのではないかと思う。何人かの人から「育休中は仕事なんかしちゃダメだよ」という指摘を受けて、それもそれで真っ当であると思った一方で、「全く仕事をしない」という前提になってしまうと、やはり育休というのはなかなか取りづらくなってしまう。

ゼロ対100ではなく、もう少し柔軟な育休もあっていいのではないだろうか。その方が、社会全体として育休取得者が増えて、健全な世の中になっていくと、僕は思う。

そして最後に。

今回僕が素晴らしい時間を持つことができたのは、僕の育休取得を応援してくれて、1ヶ月間にわたって僕の開けた穴を助けあいながらサポートしてくれた職場の仲間たちの存在だ。みんなの協力があったことで、こんなに素晴らしいことに気付くことができた。本当に、本当にありがとう。

今日からまた復帰して全力でチームに貢献するとともに、チームの誰かが育休を取るような状況になったときには、僕の方が全力で支えていかせてもらいたいと思う。

今回の育休を温かく見守ってくださった関係者の方々にも、感謝の気持ちで一杯です。改めて、ありがとうございました!


追記;
別件ですが、明日9月2日(金)に初の著書が出版になります。
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NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。

職員の卒業にあたって考えたこと ~仲間から同志・家族へ~

先週の火曜日に、2年半にわたって事業と組織を一緒に創ってきたメンバーがクロスフィールズを卒業することになった。

実は正職員が卒業するのは創業5年間で初めてのことだったので、最初に卒業の話を聞いた時には本当にショックだった。その晩は夜もなかなか眠ることができず、組織とそこで働く仲間というものについて、色々なことを考えさせられた。

なんというか、卒業するメンバーがいるのは当然のことであると頭では分かっていたけれど、僕はどこかで、クロスフィールズで一緒に働く仲間は「家族」のようなものだから、この先もずっと一緒にいるかのような幻想を抱いてしまっていた。

もちろん、実際にそうした家族的な経営をしている組織もあるだろうけれど、クロスフィールズの場合、おそらくそういう形にはならない。情熱があって優秀な人材が加入して、クロスフィールズで思い切り活躍・成長する。その後は、ある人はずっと一緒に働くこととなり、ある人は卒業して別の場所でクロスフィールズの経験を活かして活躍していく。もちろん、戻ってくる人がいても大歓迎だ。

そんな、多様なキャリアパスを描ける組織になるのが、僕たちの目指すべき方向性だと思っている。そうすることで、より多くの人が門戸を叩きやすくなり、同時に、職員の入れ替わりによって組織の硬直化を防ぐことで、より強いチームになっていくと信じている。

そして、そんな風に考えれば、職員の卒業とは必然のことなのだ。そんな当たり前のことに創業5年でやっと気づいて、少し時間はかかったけれど、彼女の卒業を徐々に受け入れることができた。


ただ、とはいえ一緒に働く仲間が去っていくということは、なんとも言えないくらい寂しいものだ。

今回卒業するのは、僕の直下で広報とバックオフィスを担ってくれていたメンバーで、本当に本当に信頼していたし、なんというか、一緒に数々の修羅場を超えてきた戦友のような存在だった。

思い返してみると、楽しい思い出よりは大変だった思い出のほうが多い気がして、そのことには申し訳ない気持ちしかない。組織としても僕個人としても、この2年半はずっと未熟さを露呈し続けてしまったようなもので、彼女には沢山の苦労と心配をかけた。もっと僕がしっかりしていれば、彼女ももう少し楽な思いをできたかもしれない。

ただ、それでもひとつだけ誇れるのは、彼女がとても前向きにクロスフィールズを卒業してくれるということだ。

彼女の新しい挑戦を聞いて、それがとても彼女らしいもので、僕は素直にそれを心から応援したいと思った。何よりも、彼女が前を向いて卒業してくれるということが本当に嬉しかった。

色々なアップダウンもある中で、もっとネガティブな心境で去ってしまう可能性のある局面も、沢山あった。でも、そうした壁をしっかりと乗り越えて、こんな幸せな気持ちで彼女を送り出せる状態をつくれたことは、クロスフィールズというチームをちょっと褒めてもいいんじゃないかとも思っている。

そんなわけで、彼女の最終出社日には、チームのメンバーみんなで、彼女のこれまでの貢献に心から感謝をするとともに、彼女の新たな船出をみんなで盛大に送り出した。文字通り、大声でエールも送った(まなぶ、いつもありがとう)。

彼女の卒業プレゼンを聞いていて改めて思ったことがある。

メンバーの卒業というのは、団体の側にとっても決して喪失なんかじゃない。同じ世界観を強く共有しているメンバーが卒業して、クロスフィールズでの経験をもとに新天地で活躍していくということは、組織の外にも僕たちの目指す世界観が広がっていくということを意味する。所属する組織は変わっても、同じ生態系(エコシステム)のなかでお互いに想いを持って働いている限り、ずっと「同志」であり、これまでと変わらない「家族」の一員なのだ。

そんな風に思わせてくれた彼女と、そんな送り出し方をしたチームのメンバーには、感謝しかない。

明日から新天地での新しい挑戦を始める家族の一員に、もう一度、心からのエールを送りたい。

どうかどうか、自然体で頑張って!
もらったアドバイスの通り、僕もチームメンバーと家族と自分を大事にします!!

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NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ クロスフィールズでは現在職員を募集しています。詳しくはこちらまで。

"地方創生"の最前線、女川に一緒に行きませんか? 【地方創生フィールドスタディin女川(1/25-1/26)のお知らせ】

企業で働くビジネスパーソンを、社会課題の解決に取り組むNPO/NGOに数ヶ月間に派遣する「留職」プログラム。クロスフィールズでは、これまでこのプログラムを、アジア新興国を対象にして展開してきた。ただ、実は昨年から「国内留職」と銘打って、日本国内で展開することを始めている。

この国内留職の取り組みには、一昨年からリクルートキャリアさんが、昨年からはハウス食品さんが参画して下さっている。つい先日も、このハウス食品さんの取り組みは日経新聞の朝刊で取り上げられたばかりだ。

なぜ日本企業は、日本国内の社会課題の現場に優秀な社員を派遣しているのか?そして、なぜメディアも国内留職の取り組みに熱い視線を向けているのか?

それは、ご存知のように「地方創生」という文脈が各所で盛り上がっているからに他ならない。

この盛り上がりは、今から5年くらい前に「グローバル人材」という言葉が盛り上がっているときの雰囲気とすごく近いように感じる。ただ、これも「グローバル人材」のときと同じだが、言葉だけが一人歩きしていて、「地方創生」という言葉の定義や、それが一体どんなものなのかは、まだ誰も分かっていないように思う。

では、この言葉には実態がないのか?

そんなことはないと、僕は思う。日本の地方では、沢山の素晴らしい動きが起き始めているし、若い世代のリーダーたちが主役となって、セクターを超えた様々な取り組みに挑戦している。

僕もここ数年で、日本の地方で奮闘する多くのリーダーたちと対話してきたし、実際に現場にも足を運んできた。そこで感じるのは、インドやインドネシアなどの新興国で辺境から世界を変えようと奮闘しているリーダーたちと同じか、それ以上のエネルギーだ。日本においては、イノベーションが生まれるのは都心よりも地方からなのではないか。そんなことを、最近はすごく実感する。

そんな中、NPOの世界では知る人がいなくなっている「地方創生」の最前線が、宮城県の女川町だ。

首長を中心とする行政が素晴らしいリーダーシップを取り、いくつかの革新的なNPOが新しい風を吹き込む。そして、そこに企業が抱負なリソースを運んでくる。これぞ「地方創生」のモデルケースと呼べるような、そんなセクターを超えた協働が起きているのが女川町なのだ。

そして、女川での「地方創生」の動きの発信源となっているNPO法人アスヘノキボウの代表である小松洋介さんとともに、女川での最先端の取り組みを現地で見ることのできる贅沢なツアーを、クロスフィールズが1/25-26の1泊2日で開催することになっている。

女川FS
http://www.etic.or.jp/fs160125/index.html
↑詳細はコチラ

こちら、これから地方創生について真剣に考えてみたいと考えているビジネスパーソンの方には、本当にオススメです。実は締め切りが明後日1/13(水)だったりするのですが、皆さん、ラストミニッツでのお申し込みをお待ちしております!(当日は僕自身も参加させてもらうのですが、今から楽しみでならない企画です。)

皆さん、"地方創生"の最前線である女川に、よかったら一緒に行きましょう!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。

2015年の学びと2016年の抱負

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さて、いよいよ2016年が始まった。

実は今年の春頃に書籍の出版をすることを目指していて、
この年末年始はそのための執筆活動に明け暮れていた。

そんなわけで、今更ながら昨年の学びを振り返るとともに、
改めて2016年の抱負をここに書いておきたいと思う。

毎年書いている気もするが、2015年は特に激動の年だった。

「気持ちを込める」「気合いを入れる」、「気を引き締める」と
いった意味で去年のはじめに『気』という漢字を掲げたけれど、
振り返ってみて、昨年はこの漢字を意識することもままならず、
激流に飲み込まれながらもがき続けて生き残ったという感じの、
敢えて言えば「気の遠くなるような1年」だった気がする。

ただその分、去年は例年以上に、人間として、経営者として、
多くの学びがあった。おそらく僕以外には意味不明だとは
思うけれど、備忘録として学びをここに書いておこうと思う。

・物事に真っ向から向き合うことでこそ、物事は前に進む。
 目を背けたくなるようなものに逃げずに向き合うことで、
 その先に希望の光が見えてくる

・自分はこうありたい、これを達成したいんだという気持ち
 を強く持ち、そこにこだわり続けるという一貫性が大事。
 目の前の人への中途半端な優しさとは、「いい人だと
 思われたい」という、自分に向いたもの。本当に目の前の
 人に優しくするなら、衝突を恐れずぶつかっていくべき

・自分自身の心身の状態や、組織のなかで無理が生じて
 いる部分に対して自覚的になるべき。そして、その部分
 に対して無自覚のままに精神論で突破したり消し去って
 はダメ。一度は直視して受け入れてから、対処するべき


以上が、昨年の学び。
本当に、とても濃厚だった。

そして2016年。

働き始めということで、恒例の目黒不動尊への初詣から。
(毎年初詣に行く人数が増えてて、なんだかとても嬉しい)

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そして、これまたクロスフィールズでは恒例となっている、
絵馬への「今年の漢字」の記入。今年はこんな漢字が並んだ。

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僕が選んだのは、『変』という漢字だ。

創業5周年を迎える2016年には、おそらく組織面・事業面
ともに、大きな変化が待っている年になる気がしている。
そんな変化の年を、「受け身で流されて変わっていく」ので
はなく、「意思を持って変わる」という年にしたいと思う。

それから、絵馬には書かなかったけど、『陰』という漢字も
今年の裏テーマにしようと思っている。これまでの僕は、
自分自身や組織の奥の方にある「陰」の部分を、「陽」の
力で消し去ってきたような気がしている。そうではなく、
素直になって「陰」の部分を自覚して、受け入れて、
その上で前に進んでいくことを、心がけていきたいと思う。

そんなわけで、今年も、他者に対しても、組織に対しても、
そして自分自身に対しても誠実に1年を過ごしていきたい。

と、極めてナイーブで内向きな文章に最後までお付き合い
頂いた方(がもしいたら)、なんだかすみません。。。

ちなみに、ちょっと過去を見返してみたら、毎年同じような
ことを書いてます。あんま進歩ないのかもですね。笑

・2011年の学び
・2012年の学び
・2013年の学び←2015年に並んで大変だった年。内容もほぼコピペ状態。笑
・2014年の学び 

こんな僕ですが、どうか今年もよろしくお願いいたします。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。