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東アジア探索旅で感じたワクワク感

韓国、香港での1週間の滞在が終わった。

短い期間ではあったけれど、久々に右脳モードを全開にしながら、刺激に満ちた探索の世界に身を置くことができた。思えば、ここまで自由なスタンスで思索をしたのは下手したら創業期以来だったような気もする。そして、あの時に感じたゼロからイチをつくる高揚感とはまた違う、日本での8年間の活動の実績を土台にした探索の広がり感が、今の僕には最高に刺激的だった。

この感覚を忘れないうちに、今回何を感じたのか備忘録的に書き残しておこうと思う。個別な出来事を振り返るとあまりにも多すぎるので、特に自分がワクワクした感覚に絞って3点だけ。

1. 国境を超えたビジョンでの共鳴

今回の渡航のメインミッションは、奇跡的な巡り合わせで実現した、韓国語版の書籍の出版に合わせたトークイベントへの登壇だった。

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↑ソウルの社会的企業インキュベーションオフィスHEYGROUNDで行われたトークイベントの模様

今から1年ほど前、韓国人の学生20人くらいがオフィスに遊びに来てくれて、クロスフィールズの活動とその背景にあるビジョンについて話をさせてもらった。文化的な背景や社会構造が近いこともあってか、学生たちの反応は想像以上だった。終わったあとにも個別に質問をしてくれる学生があとを絶たなかったが、その中に日本語を勉強している学生がいたので、僕は自分の書いた本をプレゼントした。

後日、ペソンジンくんというその学生から「この本に書かれていることは韓国社会に伝えなければいけないと思いました。ぜひ僕にこの本を翻訳させてください」とメールが来た。僕は冗談半分でOKしたのだけど、それから半年くらいをかけて、彼は本当に翻訳を完遂するとともに、周囲の人たちを巻き込んでクラウドファンディングまでして、なんと最終的に韓国語での出版を実現させてしまったのだ。

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↑右側が韓国語版の拙著『내 일을 바꿔 내일을 바꾸다(仕事を変えて、明日を変える)』(小沼大地著・ペソンジン訳)

今回のトークイベントに集まったのは、その出版プロジェクトのコアメンバーたちと、クラウドファンディングでサポートをしてくれた100人くらいの人たち。これだけの人たちが、国境を超えてビジョンレベルで共鳴しているという美しすぎる情景を見て、僕はこの上なく幸せな気分だった。

やっぱり想いこそが人を動かして、社会を変えていく。
今回出会った韓国の友人たちには、そんなことを改めて教えてもらった気がする。

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↑今回の出版プロジェクトのコアチームのメンバーたちと。(前列左端がペソンジン)

また、これだけビジョンレベルで共感できる人たちがいる韓国という国で、クロスフィールズとして何かしらの事業を展開しないわけにはいかないなとも強く感じた。

今回、何かしらの協働ができないかということで韓国の複数の社会的企業と打ち合わせをしてきたが、多くの人たちが事前に本を読んでもらってくれていたこともあり、驚くほどスムーズに意気投合することができた。やはり本があると、想いの伝播スピードは圧倒的に早い。きっと遅かれ早かれ、彼ら彼女たちと一緒になってプロジェクトを仕掛けていくことになっていくんだと自然体で思う。


2. 同世代のライバル的な存在との出会い

今回、韓国と香港で合計10人くらいの社会的企業とNGOのリーダーたちと個別に面談をさせてもらう機会があり、そのうちの何人かからは、大きすぎるくらいの刺激をもらうことができた。その筆頭が、MYSC(Merry Year Social Company)という団体とそのCEOであるAbleだ。

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↑MYSCのメンバーたちと(左端がAble)

MYSCという韓国の団体は、僕たちと同時期に立ち上がった社会的企業だ。掲げているビジョンや使っている言葉も本当に近しくて、Ableからも「俺たちは生き別れた双子だったんだな」という言葉が出てくるくらいだった。

海を隔てた国に同志を見つけて非常に嬉しくもあったのだけれど、その一方で、実は悔しくもあった。近しいビジョンを掲げて同時期に立ちあがった団体として、僕の目には、彼らの方が活動をダイナミックに展開してきているように映った。また、もちろん規模だけで活動のインパクトは測れないし、アプローチの違いもあるにせよ、年間の予算規模でも組織の規模でも、彼らの方が1.5〜2倍は大きいという感じだ。そして何より、経営者としての落ち着きやチームへの接し方なども、僕よりも数段レベルが高いと感じてしまった。完敗、という感じだ。

でも、なんというか、こういう悔しさを感じるというのも、やはり幸せなことのように思う。こうしてライバル的な存在ができたことで、自分をさらに鼓舞することができる気がする。違う国で同じビジョンを掲げる凄い仲間と切磋琢磨できるというのは、なんというか、最高にエキサイティングなんじゃないだろうか。


3. 実績をベースにした新たな事業展開の可能性

同志でありライバルと出会って自分たちの未熟さを痛感しつつも、やはり自分たちが積み上げてきた8年間での実績は決して小さくはないと感じる場面もとても多かった。

香港をベースにしたGIFTCrossroads Foundationといった、ダボス会議に毎年招聘されているような国際的に著名な団体の代表とも、今回の滞在中にディスカッションをさせてもらった。突然のアポ依頼だったにもかかわらず、自分たちの活動実績とともに協働に向けて話をしたいと伝えると、忙しい中でしっかりと時間を取ってくれた。そして、僕たちの活動やこれまでの実績を大いにリスペクトしてくれた。

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↑GIFTのChandran代表と。

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↑Crossroads FoundationのCEO Davidと。

自分としても、以前はこうしたトップレベルのリーダーたちと会うと、どうしても「駆け出しの挑戦者として応援をされる」というスタンスで話をしてしまうことが多かった。が、今回は自分のスタンスとしても、より対等な立場で、どのような連携ができるのかを冷静にディスカッションできるようになっていることを実感できた。これは団体としても個人としても、結構な成長を感じることだった。

実際、今回様々な団体と議論した協働のアイデアは、どれもが実現したら素晴らしいものになると感じられるものばかりだ。正直、それを全部やってしまったら自分の身体がいくつあっても足りないわけだけど、帰国したらチームの仲間たちとしっかりと共有して吟味した上で、できることから一つずつ実現していきたいと心底思っている。


というわけで、これからも機会を見つけてこうした探索的な海外出張には積極的に出かけたいなぁと。
また明日からは、日本で頑張ります!!

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香港のインスタ名所、益昌大廈にて。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)

充実した1年を終え、2018年は次なるステージへ

皆さま、新年明けましておめでとうございます。

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(写真は働きはじめの1月4日に目黒不動尊を初詣したときのもの)

年明け早々すごく大事な局面があったこともあり、3連休を使って、ようやく落ち着いて2017年の振り返りができた。

創業して7回目の正月を迎えて初めて言える気がするけれど、この1年は仲間たちの支えのおかげで、まさに「充実した年」だったと胸を張ることができる。

振り返ってみると、2017年のはじめは主に事業面でかなり危機感を募らせているような不安定な状況だった。一歩舵取りを間違えたら、文字通り船が転覆していてもおかしくなかった。ただ、その状況でも、個人としては「攻」という漢字を掲げ、守りに入らずに結構な攻め手を打ち切ったことが、まさに功を奏す形となった。

去年やったことは、主にこんな感じ。この3年くらい、ずっと手を付けようと思っては頓挫していたことが、一気に動いたという感覚だ。

1.チーム全体での議論を経て、NPOにとっては憲法とも言えるミッションをガラッと刷新
 (新ミッションは「枠を超えて橋をかけ 挑戦に伴走し 社会の未来を切り拓く」とした)
2.チームメンバーの既存事業に対する責任領域を拡大し、権限委譲を加速。結果として、僕以外の幹部メンバーが中心となる形で、旗艦事業である「留職」の力強い再成長が実現
3.新規事業に僕も含む数人が思い切りコミットし、新事業「フィールドスタディ」を一気にドライブ
 (フィールドスタディの新展開について年末に出したリリースはこちら
4.団体内の「働き方」や「評価制度」について、メンバーと対話を重ねながらスピード感を持って施策を着実に実行

信頼する仲間たちと力を合わせて充実した1年を過ごすことができ、チームとしても僕個人としても、すごく成長を感じることができた。いつも支え合っている仲間たちには、本当に感謝の気持ちしかない。

また、少し自分自身に焦点を当てても、グローバルでのソーシャルセクターのトレンドに触れる機会を得たり、英語での3時間講義に挑戦したり、また、レバノンに渡航してシリア時代の友人と7年ぶりの再会を果たしたりと、以前からやりたかったことを着実に実行に移せた年だった。(ちなみに地味に引っ越しもして、前から住みたかったエリアに移り住んだりもした)


と、そんな充実した2017年を終え、2018年はどんな1年にしていきたいか。一言で言えば、チームとしても個人としても「次のステージ」に進む年にしたいと思っている。

クロスフィールズについて言えば、2つある。

まずは、組織面。去年までに築いてきた「いいチーム」を「強くていいチーム」へとレベルアップさせていきたい。ただ優しく支え合うだけでなく、厳しいことも指摘しあって互いを高められるような、そんなチームを創りたい。そのためにいくつかの仕組みも作っていくし、組織体制も更に強固にして、「クロスフィールズ2.0」と言えるようなバージョンアップを図っていきたい。

事業面では、一気に忙しさを増していく局面をチーム一丸となって乗り越えていくことが最も大切なことだ。その上で、今後中期的にどうやって社会を変えていくのか、その方向性を、改めて本腰を入れて模索していきたい。まだ方向性は見えきっていないが、チームメンバーと議論しながら、じっくりと「次のステージ」を探っていきたい。

それから個人としても、事業に全力投球しつつ、今年は1つの挑戦をしてみたいと思っている。

まだ確定していないので名言は避けるけれど、7年間のあいだ目の前の事業だけを見て走り続けてきた自分を、少し違う角度から成長させるようなことを始める予定だ。これによって、個人としても「次のステージ」に進みたいと思っている。そのためには、日々の時間の使い方に今まで以上に注意をする必要がある。心身の健康を崩さないことを前提に、更なる高みを目指していきたい。


ちなみに、こちらは恒例となりつつあるクロスフィールズの新春書初め大会の模様。今年は過去にクロスフィールズを卒業したメンバーたちも集まってくれて、大いに盛り上がりました。

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僕が選んだ今年の漢字は、「信」。次のステージに進むためには、仲間を信じ、自分自身を信じて、そして、クロスフィールズというチームの可能性を信じることが一番大切だと思い、この文字を選びました。

というわけで、今年も元気に走り抜けていこうと思っているので、皆さまどうぞよろしくお願いします!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
    ☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
    ☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位

「他組織とのつながり」で社会を変える時代に突入した(気がする)

怒涛の6月が終わった。

今月は自団体のキックオフ合宿に始まって、様々な講演やらイベントも多く、とにかく慌ただしかった。週末にも出張や泊りがけのイベントが入っていることが多く、ほぼ休みなく1ヶ月を過ごした感じだ。でも、疲れはしたけれど、非常に収穫の多い充実した1ヶ月だったと思う。

今月、僕は以下の3つの外部イベントに参加した。

「avpn conference 2017」 (@バンコク、6/7-9)
世界中のImpact Investor約800人が一同に会して知見を共有するイベント
https://2017.avpn.asia/

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「新公益連盟ソーシャルビジネス経営者合宿」 (@湯河原、6/16-17)
日本のソーシャルビジネスの経営者約80人が学びを共有し合いながら切磋琢磨する場
http://www1.shinkoren.org/

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「G1新世代リーダー・サミット」 (@軽井沢、6/23-25)
40歳以下の各界リーダー120人が日本と世界を良くするための議論を行う場
http://g1summit.com/g1u-40/

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こういうことを紹介すると、「遊んでばかりいないで、しっかり仕事せぇや」とか思う人が多いかもしれない。正直なところ、僕も創業した当初などは、こういうイベントに出る経営者を「ちゃんと本業に時間使えよ」とか「あーあ、ネットワーキングばっかしちゃってさ。いい気なもんだ」などと思っていた。

でも、それは大きな間違いだったと思うし、これからの時代は経営をする上でますます「他組織とのつながり」が大事になるように感じ始めている。

いまNPOの世界を中心に、”Collective Impact”という言葉が盛んに叫ばれている。これは、自団体だけで課題解決をするのではなく、様々な関係者たちが共通の課題と目的指標を設定し、様々な組織がCollective(集合的/共同的)に課題を解決していくという考え方だ。社会課題が複雑化・高度化するなかで、単一の団体が規模を拡大して課題解決を行うことが難しくなってきていることから、このCollective Impactの考え方が注目を集めているというわけだ。

こういう考え方が経営の根幹に位置づけられると、経営者の仕事は思いきり変わってくる。

自団体での事業を成長させることは当然のように大切ではあるが、世の中がいったいどんな方向に向かっていて、他の組織がどんな動きをしているかを見極め、どことどのような組み方をすると課題解決が加速するのかを常に考えておくことが、経営者としての大切な仕事になる。そして、同業界なのか他業界なのかには関係なく、自組織が対峙する課題にかかわるエコシステムのなかでゆるやかな信頼関係を築いておくことは、経営者として決して避けられない重要な活動になってくる。

無論、単純に業界の有名人と名刺交換をするようなネットワーキングには意味はない。解決するべきと考えている課題を発信・共有し合い、それぞれが知恵やリソースを出し合いながら前向きな議論を行わなければ、全く意味のない集まりになってしまう。

実は今回参加した3つのイベントとも、そのあたりの工夫がすごくされていて、共通の思考・意図を持つ人たちが出会い協働することを後押しする仕掛けや、逆に異分野の人たちが共通のテーマに対して議論を深める場などが上手く用意されていた。(それぞれのイベントの運営者には感謝とともに心からの敬意を表したい!)

こうした運営側の工夫によって沢山のserendipityが起き、多くの素晴らしい活動が生まれていくのだ。実際クロスフィールズとしても、既存事業の延長線上にはない活動を行う必要性に気付くことがいくつもあったし、新たな事業を行う上で鍵となりそうな協働相手を見つけ、そうした相手と夜通し語り合いながら信頼関係を築くこともできた。

まだまだ何も起こせていないので偉そうなことは言えないものの、これからの時代はきっと様々な組織が手を取り合いながら社会を変えていく時代になってくる。そうした時代においては、いかにして「意義あるつながり」を持つことができるかによって、その組織がどれだけのインパクトを世の中に与えるかどうかを決めるようになると思うのだ。

とは言うものの、いくらなんでも月3回は多すぎるなのだけどね。疲れるし。
今月はなぜこんなに重なったんだろう…

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
    ☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
    ☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位

創業6周年の記念日を迎えて

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2017年5月3日。

今朝、何人かのチームメンバーから「おめでとうございます」というメールが届いた。何のことかと一瞬思いを巡らせていたが、思えば今日はクロスフィールズの創業6周年の記念日だった。

過去5回の創業記念日を迎えていわけだが、あまりにも目まぐるしい日々を過ごしていたからか、はたまたゴールデンウィーク中に過ぎ去ってしまうからか、これまで当日にそのことを意識して過ごしたことは一度もなかった。

2011年5月3日。震災の混乱も冷めやらぬ頃、僕は松島由佳とともに、当時広尾にあったJICA地球ひろばの会議室でクロスフィールズの活動を開始した。あれから6年が経った。あっという間だった気もするし、恐ろしく長かった気もするが、間違いなく、これまでの人生の中で最も濃密な時間を過ごした。

創業7年目を迎えるにあたり、いまチームでは新しい中期計画を練り上げている。事業の方向性を大きく発展させ、これまで掲げてきた団体のミッションも改定する予定だ。特にこの2年間は組織体制にも色々な変化があった。卒業して新しい道を進む仲間たちもいれば、新たに経営幹部となって団体の活動にコミットしてくれている仲間もいる。様々な変化を経験しながら、チームとしては確かな成長を実感している。

中期計画の議論のプロセスで、恩師であるETIC.の宮城治男さんに経営幹部3人でアドバイスを聞きに行った。創業以来の僕たちのメチャクチャな旅路を知っている宮城さんは、色々なアドバイスをくださったあと、こんなことをおっしゃった。

「いまこうして3人と未来に向けた話ができていて、それだけで僕は幸せを感じてますよ」

拍子抜けするような言葉でもあったが、まったくその通りだ。松島と2人で始めた挑戦を、いまもこうして松島とともに続けられていることは、奇跡のようなことだ。そして、いまや多くの仲間が集まるチームになっている。その仲間たちとともに、「来年からどんなことをやっていこう」とあーでもないこーでもないと話をできているということは、この上ない幸せじゃないか。

もちろん、いまこの瞬間も「オエッ」と吐きたくなってしまうような課題をいくつも抱えている(笑)。でも、そんな課題に向き合ってでも前に進みたいと思えるだけの情熱やわくわく感が、明確にここにある。その幸せに感謝しながら、これからも感動とワクワク感をエネルギーにしながら、創業7年目の毎日を力強く歩んでいきたいと今日この日に改めて誓いたい。

2017年5月3日
小沼大地

追記;
なお、そんな創業7年目を迎えるクロスフィールズでは、5月15日を募集締切としてチームメンバーを募集しています。これからますます熱い季節を迎えるクロスフィールズに、ぜひジョインしませんか?(5/10には採用説明会もします)
★採用情報
http://crossfields.jp/aboutus/recruit/
★職員インタビュー
http://drive.media/posts/16147

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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大いなる危機感と2017年の誓い

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もはや1年の12分の1が過ぎようとしているものの、毎年欠かさず書いていることもあり、恥を偲んで、今更ながら2016年の振り返りと今年の目標を書いてみたいと思う。(年末年始に納得いく文章が書けないまま、ダラダラと時間が過ぎた次第です…)

2016年は、実にいろいろなことが起きた年だった。

愛する広島カープが25年ぶりに優勝して狂喜乱舞してみたり、トランプ大統領の誕生に大きなショックを受けたり。また、個人としては、尊敬していた祖父が亡くなったり、第2子が生まれるという大きな人生での出来事もあった。8月には経営者として1ヵ月間の育休を取るなど、本当に色々なことを経験した年だった。

そして、経営するクロスフィールズについて言えば、2016年は創業5周年を迎えた年だった。

この節目の年に、基幹事業である留職プログラムは導入企業が30社を超え、参加者数は大台である100人を突破した。まだまだ小さな規模だが、創業期は松島とたった2人だった組織は、15人の仲間たちが常勤で働く組織になった。

2016年はメディア露出の多い年でもあった。NHK World「RISING」テレビ東京「ガイアの夜明け」で留職の特集をして頂き、朝日新聞にも一面にデカデカと取り上げて頂いた。ハーバード・ビジネス・レビューでは僭越にも「未来をつくるU-40経営者」の20人にも選んで頂いた。

また、創業ストーリーと事業にかける想いを綴った初めての著書も、3年間以上にわたる構想期間と血の滲むような執筆期間を経て、無事に世に送り出すことができた。そして、嬉しいことに、ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書の年間17位にも選ばれるなど、多くの反響をもらうことができた。

と、こうして書いてみると、いかにも順風満帆に見えるかもしれない。

「大活躍ですね!」
「乗りに乗ってますねー!」

実際、多くの人たちからそんな言葉をかけて頂く。たしかに、外から見ればそう見えるだろうと思うし、実際、事業が加速することを目指して、敢えてそんな風に見えるように体外的なコミュニケーションを図ってきたという面もある。

でも、内実は全然違う。

留職の事業は、いま正念場を迎えている。留職が事業モデルとして成立するということは、曲がりなりにもこの5年間で証明できた。だがコンセプトの真新しさで受けていた時代は終わりを迎え、本質的な価値のあるプログラムなのかどうかが、いままさに問われ始めている。

パートナー企業と派遣先団体からの高い期待値に応え続けていかない限り僕たちの事業は決して続いていかないという、そんな厳しい事実を日々嫌というほど突き付けられている。正直、今年どれくらい事業面での成長が見込めるかは、まだ確信が持てていない。昨年メディア攻勢を仕掛けたのは、そうした危機感の裏返しでもあった。

それに、このまま留職の活動を拡大していけば理想の未来がやってくるかというと、胸を張ってYESと言えない自分たちがいる。無論これまでの活動には大いなる意義があったと思っているが、目指すべき到達点を考えれば、まだまだ自分たちにはやるべきことが沢山あると痛感している。進めば進むほど問題の根深さが分かってきて、ここからの道のりの険しさに目眩がするような感覚だ。

また、2016年は組織面でも潮目が変わった年だった。創業期を支えてくれた4人のメンバーが卒業し、新たに5人のメンバーが組織に加入した。また、内的外的な要因から2回にわたる組織体制の大幅な変更も経験することとなり、組織内のダイナミクスには地殻変動的な変化があった。ここ数年ずっと感じていることではあるものの、この過程では、自分自身のマネジメント能力の限界にも痛いほどに向き合った。

事業面でも組織面でも、まさに正念場を迎えた年だった。なんというか、まるで創業期に戻ったような、この先どうなっていくか分からないという感覚を感じながら、そんななかで何とかして踏み留まったような感覚だ。(大変だった分、人間として一回りくらいは成長できたようにも思うけれど…)


そして迎えた2017年。

クロスフィールズでは、毎年恒例の行事として、働きはじめの日に初詣に行き、絵馬に各自が選んだ漢字を書くというイベントをする。今年は調子に乗ってみんなで書き初めもした。

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僕が選んだ今年の漢字は、「攻」。(ちなみに去年は「変」と「陰」だった)

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事業面でも、組織面でも、現状を否定して新しいことに挑戦し、様々なことを試したい。失敗してでも、前に進む意識を持ちたい。外的要因によって「変わらざるを得ない」というなかで迎える変化では、力が弱い。そうではなく、未来を見据えて、自分たちが起こしたい変化を起こすために、内なる変化を主体的に生み出すというのが、今年やりたいことだ。

事業面では、まずもって、クロスフィールズが掲げるビジョンとミッションを改めて定義し直したい。そして、留職の事業をもう1段階進化させるとともに、「留職のクロスフィールズ」をいい意味で脱却すべく、新たな事業も本格的な展開を始めたい。

組織面でも、いまいるメンバーたちの力を結集して「より良いチーム」をつくるための活動をどんどん仕掛けていきたい。働く仲間たちが成長を実感しながら自律的に動くことができる環境を整備していきたいし、研修その他の長期的な投資にも踏み切りたい。また、クロスフィールズならではの人事制度も色々と考えてみたい。

そんな主体的な変化への挑戦の気持ちを、「攻」という漢字に表現したつもりだ。

2017年の暮れには、「今年は攻めたなぁ」と言える年にすることを、ここに誓いたいと思う。

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NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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