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El Sistema

サンフランシスコに住む知り合いに、あるNPOの存在を教えてもらいました。

南米ベネズエラ発祥のNPO、El Sistema(エル・システマ)

ここのNPOがやってる活動が、本当に素晴らしいです。
貧困層の子どもたちの健全な成長のための活動をしてるんですが、
その手法は、なんとクラシック音楽です。

ホセ・アントニオ・アブレウ

「音楽を通して子どもたちを変え、家庭を変え、そして地域/社会を変える」

経済学者であり、そして音楽家でもあるホセ・アントニオ・アブレウ(上の写真)の
そんな愚直な想いで1975年に始まった取り組みは、
今やベネズエラ中に102のユースオーケストラ楽団を持つに至っており、
これまでに25万人のベネズエラの子どもたちの人生を変えてきました。

また、El Sistema出身の音楽家の活躍も目覚しく、グスターボ・ドゥダメルという指揮者は、
今年からロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任しています。
(ボクにはそれがどのくらい凄いのか分かりかねますが…)

『El Sistema』を紹介したCBSのドキュメンタリー(約12分・英語)

ぜひ、このドキュメンタリーを見てみて下さい!
スラムの細い道で女の子が奏でるバイオリンの音色が、胸を打ちます…


↓グスターボ・ドゥダメルが指揮する演奏の模様




なお、El Sistemaの生みの親、
ホセ・アントニオ・アブレウの下のスピーチも素晴らしいです。必見!

2009年TED Prize受賞スピーチ(日本語字幕選択可)


このEl Sistema、あまり日本では知られていない活動だとは思いますが、
CBSのドキュメンタリー放送を皮切りに、徐々に国外での活動も本格化しているようです。
なんと今年は映画まで公開するとか…

ぜひ、途上国発のこの素晴らしい取り組みが、世界中に広まって欲しいものです!

プロダクトRED

Product (R)ed

「プロダクトRED」って、知ってますか?

2006年に始まった世界的なファンドレイジング・キャンペーンで、
キャンペーン参加企業が「プロダクトRED」という共通ブランドで赤い商品を開発して、
その収益の一部がアフリカのエイズ・結核・マラリア対策基金に寄付される仕組みです。
http://www.jcie.or.jp/fgfj/productred/(←仕組みの詳細はこちら)

プロダクトRED
プロダクトREDのホームページ
(相当にかっこいいです…)


Cause Related Marketing(社会貢献を活用したマーケットの開拓戦略)の分野では
最近Volvicの「1L FOR 10L」が日本で流行っていますが、当初はこっちの方が有名でした。

このキャンペーン、何がすごいって、参加できる企業を一流ブランドにだけ絞っているのです。
アップル(iPod)、アルマーニ、GAP、コンバース、アメリカンエキスプレス、etc

アメリカでは最近スタバもキャンペーンに加入したとのこと。
近所のスタバに置いてあったので、つい写真を撮ってみました。

Cause Related Marketingは今後更に流行ると思われるので、
このスタバの商品が日本で発売される日も近いかもですねー。

Nonprofit Day 2009

サンフランシスコには、「NPOを支援する」という、中間支援の機能を持つ団体が沢山あります。
その中でも有名な団体に、Compasspoint Nonprofit Servicesっていうのがあります。
(実はボクはこの団体に憧れて、いま仲間と運営している団体の名前にさせてもらいました)

ここは1975年に誕生した長い歴史を持つ中間支援組織で、
NPO職員に向けた専門的な研修やコンサルティング、情報発信などを行っています。
研修は、なんと1日100ドルもするのに毎年6,000人ものNPO職員が参加してて、
コンサルティングも年間300件の契約がコンスタントにあるというからスゴいです。
ちなみに年間予算も約5億円と、かなり大きいです…。
(日本最大の中間支援NPOであるJANICの年間予算は1億円程度)

で、このコンパスポイントが行う「Nonprofit Day 2009」という、
日本でやったらほとんど人が集まらなそうなイベントに、早速参加してきました。

NPO業界の超有名人のスピーチやパネルディスカッションが聴けて、
時間も朝8時から夕方16時半までと、とにかく盛りだくさん。
確かにマニアにはたまらない内容ではあるのだけど、会費はなんと約200ドル…。
「全く、これじゃあ来たい人も来れないじゃないか…」とか思いながら
高額会費を払って会場に入ってみて、ビックリ。

なんと700人以上のNPO職員たちが会場に来ていました。。。

ラッフル
↑会場の様子(みんなフォーマルな中、ボクはド派手な紫色のパーカーで参加しました)


今年のメインテーマは「悲惨な経済状況の中、NPOはどう活動すべきか」で、
それに沿って「経済」「リーダーシップ」「社会運動」の3つの観点から議論がありました。

自分の頭の整理のためにも、いくつか主な気付きを書きます。


①規模は違えど、アメリカも日本も悩んでいる内容や課題はそんなに変わらない

日本とは比べ物にならない規模と歴史を持っているアメリカのNPOなわけですが、
話している内容を聞いている限りでは、悩んでいる内容は日本と似たりよったりです。
「企業からお金をもっともらうには…」「行政をもっと巻き込むには…」などなど、
日本でもお馴染みのテーマについて、あーでもないこーでもないの議論があった感じです。

日本のNPOが知らない「答え」があるってわけじゃないってことですね。(当たり前ですが…)

また、参加者の層も日本のNPO関連イベントとほぼ同じという印象を持ちました。
(例えば「日本ファンドレイジング協会」「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」のイベント)
おそらく、50代以降の人が6割くらいで、女性の割合も7-8割だったんじゃないかという印象です。
世代交代があまり進んでいないのが結構ヤバいなということと、
「NPOは女性の活躍する世界」という印象が根強くあるのも、日本と一緒です。

ボクの仮説としては、もう少し若い層は「Social Entrepreuner(社会起業家)」の概念に
より関心を持っていて、「旧体質」のNPO業界を敬遠しているという状況があると思います。
日本でもそうですが、この「NPO世代」と「社会起業世代」の断裂は
何とかしなければ非常にもったいないことだと、個人的には強く思っています。

パネル・ディスカッション


②ただし、経済状況に対する危機感が非常に強い

一方で、ボクが強く感じた日米NPOの違いは、経済危機に対する危機感です。
ここのファンドレイザー(資金調達を担当する人)は、For-Profitが何を考えているかに敏感です。

ボクが参加したセッションの1つでは、「企業からの寄付の今後」というテーマで
企業のCSR担当・ファンドレイザー・財団の人間とが登壇して議論がありましたが、
会場からの質問は「いまCEOは何を考えているのか」「どうすれば経営陣の関心を向けられるか」
などといった点に集中していました。経営陣の動向を探ろうとしているあたり、嗅覚が鋭いです。

ちなみに、どのファンドレイザーも「昨年よりも寄付金額が減っている」と感じている一方で、
「ボランティアや現物寄付は増えている」と感じていることは面白かったです。
この辺、日本ではどうなっているんでしょうね?


③イベントの運営が洗練されており、エンターテイメント性も高い

これだけ高い会費を取るのだから当然といえば当然なのかもしれませんが、
会場の運営が非常にスムーズで、アマチュアな感じが全くありませんでした。

会場運営を担当していたコンパスポイントの職員たちは、
みなヘッドセットをつけて黙々と会場(Hilton Hotelを2フロア貸し切り…)を動き回ってました。
この辺のプロフェッショナリズム、さすがでした。

また、感激したのは、会場のアチコチに見られた、来場者を楽しませる工夫です。

ルーレット

これはルーレット。参加者全員に抽選券が配られ、コンパスポイントが出版する
NPO関連の書籍が当たります。ボクも運よく本を数冊手に入れました。

Nonprofit Day 2009

さらにスゴいのが、Raffle(宝くじ?)イベントです。
こちらも全員が参加でき、何と特賞は「コンパスポイントのサービス1万ドル利用権」でした。
抽選はランチの最中に大会場で行われ、それはそれは大盛り上がりでした。

もちろんこれらのプレゼントには全てスポンサーの協賛がついており、
これによって参加者はスポンサーの名前を間違いなく意識するわけです。
非常に面白い仕組みではないでしょうか?


と、なんだか長くなりましたが以上です。
それにしても、色々な人と知り合うこともできて、非常に実りが多い1日でした。

金銭的に厳しい状況ですが、頑張ってまた参加してみようと思います!