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「リーン・スタートアップ」とNPOの経営

起業家仲間から勧められて、「リーン・スタートアップ」という本を読んでみた。

全体的にネット系ベンチャー企業を主な対象として書かれた本のように感じたけど、
NPOの経営者という全く分野の異なる自分が読んでも、とても学ぶことの多い本だった。

頭の整理のためにも、特に気になったこと2点だけメモしておく。
(※ 僕なりの解釈が多分に入っているので、詳しくは原著を読んで下さい)

リーン・スタートアップ

① スタートアップの経営者は"Pivot"する勇気を持つことが大事

特にスタートアップの経営者は、「構築-計測-学習(Build-Measure-Learn)」
サイクルをいかにスピーディーに継続的に回すことができるかが生命線だと著者は唱える。

新しいサービスを提供する際には、完璧な製品を提供してから顧客のフィードバックを
受けるのではなく、早い段階で顧客の声を聞いて仮説を検証し、「戦略の方向転換(Pivot)」
するかどうかの判断をスピーディーに行なっていくのが肝である、という考え方だ。

もちろん、自分が「これだ!」と信じてきたものが間違っていると突きつけられるのはとても辛いし、
それを受けて戦略の見直しをするという行為には、信じられないほどの勇気が必要だ。

でも、だからこそ、早い段階で顧客の声を聞いて"Pivot"できることに、大きな価値がある。

顧客が全く求めていない機能を完璧に作り込むなどといった、間違った方向に突き進んで
膨大な時間とお金を無駄にすることを避けることが、著者が主張する経営手法なのだ。


これはNPOの経営にも応用することのできる考え方ではないかと思う。

どのNPOも、団体が掲げるミッションやビジョンに基づいて活動を始めているが、
活動を続けるうちに、いつの間にか、予定通りに活動自体が進んでいるかどうかばかりに
気を取られてるようになって、ミッションやビジョンに近づいているかを見失いがちだ。

たとえばクロスフィールズを例にとってみても、「留職」プログラムは
団体のミッションである"社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーを創ること"のために
運営しているが、日々管理する指標は、「何人が参加したか」「満足度はどうだったか」
という部分だったり、「資金調達は大丈夫か」といった見えやすい観点になりがちだ。

そうではなく、「自分たちは本当に社会を変えているのか」という問いに立ち返って、
自分たちの活動を"Pivot"すべきか考えることを、初期段階では特にやるべきだと思う。


② 自分たちを最初に信じてくれた顧客とともに歩もう

では、どのように「構築-計測-学習(Build-Measure-Learn)」のサイクルを早めるのか。

著者の答えは、自分たちの製品を信じてくれるアーリーアダプターに対して
「MVP(Minimum Viable Product=実用最小限の製品)」を提供することだ。

アーリーアダプターとは、完成度が低くても必要な機能を評価して製品を買ってくれて、
製品にコメントをして一緒になって製品の完成度を高めてくれる人たちだと著者は考える。

彼らに対し、必要最小限な機能だけを持つMVPをスピーディーに提供していくことで、
貴重なフィードバックをもらうことが可能となる。そして、その顧客の声を通して、
今後注力して開発すべき領域と、顧客が必要としない領域が何かを知ることができるのだ。


この点についても、NPOには大いに学ぶべきことがあるのではないかと思う。

幸運なことに、多くのNPOには、団体のミッションに共感して応援してくれる仲間たちがいる。
NPOの経営者は、そうした仲間たちを単に活動を応援をしてくれる支援者として見るのではなく、
アーリーアダプターとしてサービスや事業にフィードバックをくれるパートナーだと捉えてはどうだろう。

クロスフィールズでも、パートナー企業には「一緒に『留職』プログラムを創ってください!」と
繰り返し伝えているが、これはとても上手くいっていて、そうしたパートナー企業の
フィードバックがもととなって、様々な新たな素晴らしい事業やプロジェクトが生まれている。

逆に言うと、初期段階ではフィードバックをくれない顧客とは付き合うべきではないとも、僕は思う。
極端に聞こえるかもしれないけれど、スタートアップ期のリソースはそれくら貴重なのだ。



…それにしても、実は起業してから初めて、いわゆる「ビジネス書」を読んだのだけれど、
実践者として情報に触れると「なるほど!」と思うポイントがとても多いことに改めて驚かされた。

この本も、起業する前に読んだら「当たり前のことしか書いてないな…」と思ったかもしれない。
それくらい、今の僕には「当たり前のこと」すら見えなくなっているということだと思う。

うーん、もう少しインプットの機会を増やさねば。。。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

「ワクワクすること」は手段であり、目的でもある(?)

自分でもまだ思考の途中という感じなのだけれど、少し思うことがあり、
「ワクワクすること」をテーマに、徒然なるままに考えていることを書いてみたい。


僕は元来、「ワクワクすることなんて、どうでもいい」と思っていた。

たとえば、中学入学から大学卒業までの10年間を部活にだけパワーを
費やしてきた自分というのは、ワクワクしているかどうかなんて関係なく、
ただガムシャラに一生懸命やっているかどうか、そして、
その結果がどうだったのかにだけ、こだわっていたように思う。

でも、それは、短期間の青春を駆け抜けるという、
特殊な短距離走の世界でのみ通じるやり方だったと、僕は気付かされた。

これに気付いたのは、青年海外協力隊員としてシリアで活動していた時だった。
僕は、シリア人の同僚たちとともに、小学校向けの教育プログラムをつくっていた。
とても意義がある活動だったし、生徒からの評判も上々だった。
僕は活動に満足していて、当然、同僚たちも意欲に燃えていると思っていた。

でも、違った。活動自体が上手くいっていても、それを運営しているメンバーが
活動に対してヤル気を持っていなければ、活動は継続することはできない。
あることを契機に同僚のモチベーションが一気に下がり、活動は止まってしまった。

その後、そうすれば同僚たちがヤル気を出してくれるかを必死に考え、
彼らがワクワクすることは何かを必死に考えることで、活動は再び勢いを取り戻した。

「何かの目的のためには、ワクワクすることが重要な手段」だと、僕は学んだ。
以来、僕は何かの活動や仕事をする時には、かかわっている人たちが
ワクワクしている状態であるために、たくさんの工夫をしてきたつもりだ。


そして今、自分で事業を始めてからというもの、
ワクワクすることということに対して、また少し違うことを考えている。

それは、ワクワクできていれば、それが全てじゃないかということだ。

「大地がワクワクしていると、それだけで俺は幸せな気分になるんだよね」

ある時、僕はとても尊敬する先輩から、こんな言葉をなげかけられた。
実は、その人は若くして死んでしまったのだけど、彼は生前、
毎日をワクワクしながら過ごすことに対して、少しも妥協をしない人だった。

日々をワクワクしながら楽しそうに過ごしている彼の周りには、知らず知らずに
素敵な人たちが集まってくる。そこからは、いつも何かのアイデアが生まれ、
誰もをワクワクさせてしまうような奇跡的な出来事が何度も起こった。


いま自分で事業をしていても日々痛烈に感じることだけど、やっている側が
心の底からワクワクしている事業や活動というのは、とにかく上手くいくものだ。
つまり、ワクワクしてさえいれば、色々なことが上手くいってしまうのだ。

また一方で、ワクワクしていなければ、色々なことが上手くいかないのだ。

どんなに正しいと思うことをやっていても、やっている側のワクワク感がなければ、
その活動というのは、きっとどこかで求心力を失って、迷走してしまうのだ。


こう考えてみると、「ワクワクすることは、手段ではなく、目的」とも思えてくる。

すごく逆説的な考え方のような気もするければ、どんな活動においても、
自分たちがワクワクしている状態に持っていくことこそ、究極のゴールかもしれない。


・・・うーん、本当なんだろうか。
しばらく、ゆっくり考えてみたいと思う。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

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※ 7月14日(土)にクロスフィールズ1周年記念イベントを開催します。
  お申込みはこちらからお願いします!
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【7/14(土)開催】クロスフィールズ1周年記念イベント

CF設立記念イベント

5月3日でクロスフィールズ創業1周年だったんで少しタイミングが遅くなってしまいましたが、
来る7月14日(土)の夜に、改めて、1周年記念イベントを開催させて頂くことになりました。

楽しいイベントにしますんで、皆さん、ぜひいらっしゃって下さい!
(上の写真は去年のイベントの様子)

↓お申し込みはこちらから
http://crossfields.jp/wp/?m=2012#a642

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”社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーを創る”というミッションを掲げ、
「留職」プログラムという新たな仕組みで日本社会を変えるという挑戦を続ける、
NPO法人クロスフィールズが、2012年5月3日をもって創業1周年を迎えました。

そこで、日頃からサポートして下さっている皆さま、そして、
これからクロスフィールズの挑戦を応援して下さる皆さまと共に、
1周年を祝う記念イベントを開催させて頂きたいと思います。

共同創業者の小沼/松島より、この1年の事業報告や、今後の展開をお話させて頂くことに加え、
帰国中のベトナム駐在員より、現地での活動の様子をお伝え致しますので(予定)、
ぜひ多くの方にお越し頂き、クロスフィールズのことをより知って頂く機会になりましたら幸いです。

ドリンクやお食事もご用意させて頂きますので、
皆さまと一緒にお時間を過ごせますことを楽しみにしております。

多くの方のご参加を、心よりお待ち申し上げます。

▼日時
2012年7月14日(土) 18:00~ (開場17:30)

▼会場
FIAT CAFFE
http://fiatcaffe.jp/access/
東京都港区北青山1-4-5 ロジェ青山2F
・東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩3分
・東京メトロ銀座線・半蔵門線・都営大江戸線青山一丁目駅より徒歩2分

▼会費
¥5,000
※フリードリンクと、美味しいお食事をご用意致します

▼お申込み
参加される方は7/4(水)までに下のフォームよりお申込みください。
会場の関係で、定員を設けさせて頂いております。お早めにお申込みください。

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NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715