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NPOには「競合」がいない!?

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「クロスフィールズも、そろそろ競合が出てきて大変なんじゃない?」

ここのところ、そんな質問を投げかけられることが増えている。
実際、クロスフィールズが運営する「留職」の取り組みについて言えば、
新興国に社員を派遣するタイプのプログラムは徐々に増えているし、
公的機関が僕たちの活動とかなり近い活動を始めるケースもある。

でも、だからといって、僕たちがその状況を受けて
「そうなんですよー!競合が沢山出始めて経営が大変なんです…」
と嘆くかといえば、全くそんなことはない。むしろ、、、

「はい!目指すべき世界を一緒に創れる仲間が増えています!」

と、あえて非常に無邪気な喜びを表現するようにしている。
でも、これは強がっているわけではなく、本当にそう思っていたりする。

たとえば、先日も日経新聞にこんな記事が大きく出た。

『NPO出向、本業で武器に』
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO66275240T00C14A2NNSP00/

クロスフィールズの活動とも近しい特集で、僕たちの活動も片隅に
取り上げてもらっているものの、基本的には各企業が独自にNPOに
社員を出向させているという動きを紹介した記事だった。

「くそー、悔しい。自分たちも頑張って次は取り上げてもらおう」

そんなことを、この記事を見て感じることもできるかもしれない。
でも、むしろ仲介するNPOがいなくても、企業が自発的にこうした
取り組みに着手しているという状況を、僕たちは心から喜んだのだ。


そもそもNPOに、「競合」という存在は基本的にいないと僕は思う。

利益を追求して組織の成長を追い求める株式会社とは違って、
NPOは団体の存続自体が目的にはなっていない。NPOによっては、
究極のゴールは組織を解散することだと定義している場合もある。

たとえば、マラリア撲滅を使命とする団体は、マラリアが地球上から
なくなったら、その団体も健全に世から姿を消すことになるだろう。

自団体が存続・成長するかどうかは、NPOにとって重要ではない。
「マラリアをなくす」という使命の達成こそが、全てなのだ。

そんなNPOの世界では、類似のサービスが現れたのであれば、
そうした存在を「競合」ではなく「パートナー」として捉えて、
ミッション達成に向けて何ができるかを、一緒に考えることになる。

これこそが、NPOの最大の強みだと僕は思う。1つ1つの団体が生み出す
インパクトは小さくとも、連帯することで、世の中を大きく変えられるのだ。


とはいえ、類似サービスが出てくることは、事業者にとっては大変だ。

マラリア撲滅を目指す2つの団体が、寄付者の獲得を巡って争うような
ことだって、きっとある。でも、そんな状況だって、自分たちにしか
出せない価値で差別化していくキッカケを事業者が得ることになり、
それはすなわち、ミッション達成を加速させていると考えられる。

もちろんキレイごとだけで終わらないこともあるし、大変なことも多い。
でも、それでも「ミッション達成が全てです」という高潔さがあることが、
僕がNPOという組織体のことを愛してやまない由縁だったりもする。

僕自身も、NPOの経営者を務めている身だ。
日々、そんなプライドや高潔さをもって、働いていたい。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。

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