大いなる危機感と2017年の誓い
- Day:2017.01.31
- Cat:経営ノート

もはや1年の12分の1が過ぎようとしているものの、毎年欠かさず書いていることもあり、恥を偲んで、今更ながら2016年の振り返りと今年の目標を書いてみたいと思う。(年末年始に納得いく文章が書けないまま、ダラダラと時間が過ぎた次第です…)
2016年は、実にいろいろなことが起きた年だった。
愛する広島カープが25年ぶりに優勝して狂喜乱舞してみたり、トランプ大統領の誕生に大きなショックを受けたり。また、個人としては、尊敬していた祖父が亡くなったり、第2子が生まれるという大きな人生での出来事もあった。8月には経営者として1ヵ月間の育休を取るなど、本当に色々なことを経験した年だった。
そして、経営するクロスフィールズについて言えば、2016年は創業5周年を迎えた年だった。
この節目の年に、基幹事業である留職プログラムは導入企業が30社を超え、参加者数は大台である100人を突破した。まだまだ小さな規模だが、創業期は松島とたった2人だった組織は、15人の仲間たちが常勤で働く組織になった。
2016年はメディア露出の多い年でもあった。NHK World「RISING」やテレビ東京「ガイアの夜明け」で留職の特集をして頂き、朝日新聞にも一面にデカデカと取り上げて頂いた。ハーバード・ビジネス・レビューでは僭越にも「未来をつくるU-40経営者」の20人にも選んで頂いた。
また、創業ストーリーと事業にかける想いを綴った初めての著書も、3年間以上にわたる構想期間と血の滲むような執筆期間を経て、無事に世に送り出すことができた。そして、嬉しいことに、ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書の年間17位にも選ばれるなど、多くの反響をもらうことができた。
と、こうして書いてみると、いかにも順風満帆に見えるかもしれない。
「大活躍ですね!」
「乗りに乗ってますねー!」
実際、多くの人たちからそんな言葉をかけて頂く。たしかに、外から見ればそう見えるだろうと思うし、実際、事業が加速することを目指して、敢えてそんな風に見えるように体外的なコミュニケーションを図ってきたという面もある。
でも、内実は全然違う。
留職の事業は、いま正念場を迎えている。留職が事業モデルとして成立するということは、曲がりなりにもこの5年間で証明できた。だがコンセプトの真新しさで受けていた時代は終わりを迎え、本質的な価値のあるプログラムなのかどうかが、いままさに問われ始めている。
パートナー企業と派遣先団体からの高い期待値に応え続けていかない限り僕たちの事業は決して続いていかないという、そんな厳しい事実を日々嫌というほど突き付けられている。正直、今年どれくらい事業面での成長が見込めるかは、まだ確信が持てていない。昨年メディア攻勢を仕掛けたのは、そうした危機感の裏返しでもあった。
それに、このまま留職の活動を拡大していけば理想の未来がやってくるかというと、胸を張ってYESと言えない自分たちがいる。無論これまでの活動には大いなる意義があったと思っているが、目指すべき到達点を考えれば、まだまだ自分たちにはやるべきことが沢山あると痛感している。進めば進むほど問題の根深さが分かってきて、ここからの道のりの険しさに目眩がするような感覚だ。
また、2016年は組織面でも潮目が変わった年だった。創業期を支えてくれた4人のメンバーが卒業し、新たに5人のメンバーが組織に加入した。また、内的外的な要因から2回にわたる組織体制の大幅な変更も経験することとなり、組織内のダイナミクスには地殻変動的な変化があった。ここ数年ずっと感じていることではあるものの、この過程では、自分自身のマネジメント能力の限界にも痛いほどに向き合った。
事業面でも組織面でも、まさに正念場を迎えた年だった。なんというか、まるで創業期に戻ったような、この先どうなっていくか分からないという感覚を感じながら、そんななかで何とかして踏み留まったような感覚だ。(大変だった分、人間として一回りくらいは成長できたようにも思うけれど…)
そして迎えた2017年。
クロスフィールズでは、毎年恒例の行事として、働きはじめの日に初詣に行き、絵馬に各自が選んだ漢字を書くというイベントをする。今年は調子に乗ってみんなで書き初めもした。

僕が選んだ今年の漢字は、「攻」。(ちなみに去年は「変」と「陰」だった)

事業面でも、組織面でも、現状を否定して新しいことに挑戦し、様々なことを試したい。失敗してでも、前に進む意識を持ちたい。外的要因によって「変わらざるを得ない」というなかで迎える変化では、力が弱い。そうではなく、未来を見据えて、自分たちが起こしたい変化を起こすために、内なる変化を主体的に生み出すというのが、今年やりたいことだ。
事業面では、まずもって、クロスフィールズが掲げるビジョンとミッションを改めて定義し直したい。そして、留職の事業をもう1段階進化させるとともに、「留職のクロスフィールズ」をいい意味で脱却すべく、新たな事業も本格的な展開を始めたい。
組織面でも、いまいるメンバーたちの力を結集して「より良いチーム」をつくるための活動をどんどん仕掛けていきたい。働く仲間たちが成長を実感しながら自律的に動くことができる環境を整備していきたいし、研修その他の長期的な投資にも踏み切りたい。また、クロスフィールズならではの人事制度も色々と考えてみたい。
そんな主体的な変化への挑戦の気持ちを、「攻」という漢字に表現したつもりだ。
2017年の暮れには、「今年は攻めたなぁ」と言える年にすることを、ここに誓いたいと思う。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715)
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
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☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位