まだつながらない点
- Day:2012.03.11
- Cat:日々の考えごと
今からちょうど1年前の2011年3月11日、
その日は偶然にも僕の前職の会社への最終出社日だった。
前職での最後のひと仕事として退職挨拶の
メールを書いている時に、地震は起きた。
翌週から独立して全力で駆けまわる予定だった僕だが、
当然のようにアポは全てキャンセル。途方に暮れた。
日本が大変な状態の中で無職でやることもなかった僕は、
ある意味では自然な流れで、被災地支援の活動に携わった。
約2ヶ月間、シビックフォースという災害支援NPOの
物資運搬事業の責任者として、それこそ、とてつもなく働いた。
肉体的にも精神的にもハードな仕事だったけれど、
同時に、とてもやり甲斐のある仕事でもあった。
ゴールデンウィークに入るくらいの時期には多くの企業で
平常の業務状態に戻り始めたということを聞き、そのタイミングで
僕は震災支援の活動を離れ、クロスフィールズを創業することにした。
それからは我武者羅にクロスフィールズの活動に奔走して、今に至る。
振り返ってみると、東日本大震災が起きた3.11を境として、
僕の人生は全く異なるものになったわけだ。なんとも、不思議な話だ。
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で残した
伝説的なスピーチの中に、"Connecting the dots"という話がある。
一件何の関連性もないと思っていたイベントや知識・経験が、
後々になって綺麗な線として繋がるという奇跡的な現象を、
ジョブズは彼の人生での重要な出来事とともに力強く語っている。
(ちなみに、僕はこの話の大ファンだ)
まだまだ短い自分の人生ではあるけれど、起業してからというもの、
この話がピンときてゾクゾクっとするようなことが、実はすごく多い。
協力隊での経験や人脈が信じがたいところで今の仕事に活きたり、
ふとした瞬間に小学校時代の授業での記憶が急に蘇ることもしょっちゅう。
まるで、これまで生きてきた全過程が繋がっていると思えるくらいだ。
でも、ただ一点、東日本大震災という出来事と、その後に自分が復興支援に
従事したということだけは、まだ自分の中で繋がりが見出せていない。
震災の経験だけが、僕の中ではストーリーとして整理できていないのだ。
でも、なぜだか分からないけど、今はまだつながらないこの点が、
いつの日か自分にとって大きな意味を持つ日が来るような気もする。
You can't connect the dots looking forward.
You can only connect them looking backwards, so you have to
trust that the dots will somehow connect in your future.
(先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない)
(だから将来何らかの形で点がつながると信じなければならない)
You have to trust in something--your gut, destiny, life, karma,
whatever--because believing that the dots will connect down the road
will give you the confidence to follow your heart, even when it leads
you off the well-worn path, and that will make all the difference.
(何かを信じなければならない。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも)
(点がつながると信じることで、たとえそれが皆の通る道からはずれても)
(自分の心に従う自信が生まれる。これが、大きな違いをもたらしてくれる)
Steve Jobs
僕にとっても誰にとっても、そしておそらく日本という国にとっても、
東日本大震災という出来事は、まだ頭の中で整理のつかない出来事だと思う。
でも、いつか震災の経験が何らかの素晴らしい未来に繋がっていくことを
今はただただ信じて、僕たちは前を向いて進むしかないんだと思っている。
最後になりましたが、震災で犠牲になった方々のご冥福をお祈りします。
NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715)
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