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1ヶ月間の育休での気付きと学び

早いもので、第2子の誕生に合わせた1ヶ月間にわたる育休があっという間に終わって、今日から仕事に本格的に復帰する。

色々な人に応援してもらって、男性経営者が育休を取るというあまり一般的でないことを経験できたので、せっかくなので、今回の気付きを備忘録的に僕なりにまとめておきたいと思う。

「育休が休暇などでなくいかに目まぐるしい時間なのか」
「家事や子育てというものがどれだけ大変かを実感できるか」

そのあたりのことについては、タレントのつるの剛士さんが共感することの多い素晴らしいブログを書いているので、そこに譲りたい。僕としては、日々仕事に追われるビジネスパーソンが育休を取ることの意味に絞って、3つの観点で書いてみたい。


① 「1つ1つのことを噛みしめる感覚」の実感

我が家は共働き家庭で、普段の平日は夫婦揃って仕事を中心に生活が回っている。そのため、朝食の準備・保育園の送り迎え・お風呂・寝かしつけといった家事や育児は、なんというか、短時間で効率的に終わらせなければいけない「タスク」として処理されていたように思う。

今回もはじめの1週間くらいは新しい生活にも慣れずに、家事・育児を以前と同じように「タスク」として必死にこなしていた。が、中盤からは、目の前の洗い物や洗濯に、こだわりを持って臨めるようになっていった。そうなると、不思議な事に、家事と育児は「ねばならないタスク」ではなくなり、「かけがえのない時間」に変わっていった気がする。

娘と過ごす時間も、たとえばお祝いごとの準備なんかも、これまでは「なんとかやってあげなきゃいけないこと」だったのが、「どうやったら一番喜ぶだろう」とかをニヤニヤしながら考えて全力で準備をして、実際に喜ぶ顔を見たら涙が出るほど嬉しかったりと、信じられないほど幸せを感じる時間になった。

あぁ、これまで僕は、目の前のとっても大事で幸せなことをスルーして生活してしまっていたんだなぁ・・・

今回、家事・育児に全力でコミットする機会をもらって気付いた一番大きなことは、そんなことだったと思う。

大げさに言えば、これは人生観が変わるくらいの気付きだった。今日からまた仕事に戻るわけだけど、これからも今回の「日々を噛みしめる感覚」を大切に生きていきたいと心から思う。


② オーナーシップの大切さ

仕事でも家事・育児でも共通しているのは、どちらも1人でやることではないという点だ。職場では同僚と、家庭ではパートナーや家族と分担してチームで取り組む。

そして、チームで取り組むことには、共通した真理がある。仕事で大事なことは家庭でもやっぱり大切なわけで、僕にとってそれは「オーナーシップ(当事者意識)」ということだった。

今回は、妻の産後直後ということで、「上の子の面倒を見ること」と「家事全般をすること」についての権限が全面的に僕に委譲されたわけだ。これまでは正直、自分はどこかサポーター役的にやっていたことを、自分が全部やる「権限」と「責任」を持ったことになる。これによって、僕の育児や家事に対する目線は一気にあがった。

これまでは、自分がサポートするのに必要なことだけを把握していればよかったのが、全体観を保つ必要が出てくる。

これまでは妻の聖域だった台所の細かい部分だとか、娘の洋服ダンスの収納の仕方など、そういった部分も含めて、自分が責任を持つ必要があった。(そのため僕は1週目にこのあたりの大掃除をさせてもらって全体の把握をしたのだけど、それは大正解だったように思う)

色々な人のブログとかを見ていると、夫の育休中には夫婦のケンカがすごく増えると聞くけれど、幸いにも、我が家ではあまりそういうことにならなかった。

僕は曲がりなりにも責任を持つ意識を持っていたし、妻は、文句ひとつ言わず(少しはあったけど)、基本的に家事・育児初心者の僕に全部を任せてくれたからだ。

仕事と同じで、やはり大事なのは「当事者がオーナーシップの意識を持つこと」と、周囲が「そのオーナーシップを尊重して権限委譲する」ということなのかもしれない。


③ 究極の「時間ダイエット」

仕事面では、僕はこの育休の期間中も、限定的ではあるけれど、平均すると毎日1-2時間くらいはメールの対応や重要な意思決定を中心に、本業の仕事を続けていた。(オフィスには行かず、外部アポもゼロでした)

いつもに比べたら仕事にかける時間というのは普段の10%くらいだったという感覚だ。

でも、本当に重要なことに絞って仕事をせざるを得なかったので、当然無駄な時間の使い方などはしておらず、普段よりも圧倒的に高い密度で仕事をしていたように思う。

なんというか、余計な脂身とか贅肉みたいなものを削ぎ落として、限界に近いくらいに筋肉質になったような感覚だ。

普段自分が「これは間違いなく必要」と思っていたことが、どれだけ無駄なものだったか、あるいは、誰かに任せることができるものだったか、そんなことを痛感させられたような気分だ。

仕事についても、家庭についても、「何が自分にとって大切な時間」か、「何が自分が時間を使わなくていいことか」を、自分の時間の使い方が思い切り変わることによって、見直す期間になったように思う。

+++

以上、すごく偏りがある内容だけど、3つの観点で書いてみた。

一番言いたいのは、育休は一人ひとりの人にとって大きな学びがあるのと同時に、人生を思い切り豊かにしてくれるはずなので、ぜひ1人でも多くの男性ビジネスパーソンにまとまった期間の育休を取って欲しいということだ。

特に管理職や経営者の人は「いや、そんなの無理」となってしまうかもしれない。でも、不可能なんてない。僕の場合は、去年の暮れに経営陣に相談した上で、年初にチーム全体に宣言をすることで、それを前提にして動くことで、実際に予定通り取ることができた。

あと、もう1つ、完全に仕事を離れることができないという人は、僕のようにリモートワークで少し仕事をするというスタイルでの育休でも、いいのではないかと思う。何人かの人から「育休中は仕事なんかしちゃダメだよ」という指摘を受けて、それもそれで真っ当であると思った一方で、「全く仕事をしない」という前提になってしまうと、やはり育休というのはなかなか取りづらくなってしまう。

ゼロ対100ではなく、もう少し柔軟な育休もあっていいのではないだろうか。その方が、社会全体として育休取得者が増えて、健全な世の中になっていくと、僕は思う。

そして最後に。

今回僕が素晴らしい時間を持つことができたのは、僕の育休取得を応援してくれて、1ヶ月間にわたって僕の開けた穴を助けあいながらサポートしてくれた職場の仲間たちの存在だ。みんなの協力があったことで、こんなに素晴らしいことに気付くことができた。本当に、本当にありがとう。

今日からまた復帰して全力でチームに貢献するとともに、チームの誰かが育休を取るような状況になったときには、僕の方が全力で支えていかせてもらいたいと思う。

今回の育休を温かく見守ってくださった関係者の方々にも、感謝の気持ちで一杯です。改めて、ありがとうございました!


追記;
別件ですが、明日9月2日(金)に初の著書が出版になります。
こちらもよろしければご笑覧くださいませ!

『働く意義の見つけ方―――仕事を「志事」にする流儀』
www.amazon.co.jp/dp/4478025185
カバー(写真付き)


NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
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