東アジア探索旅で感じたワクワク感
- Day:2019.07.07
- Cat:経営ノート
短い期間ではあったけれど、久々に右脳モードを全開にしながら、刺激に満ちた探索の世界に身を置くことができた。思えば、ここまで自由なスタンスで思索をしたのは下手したら創業期以来だったような気もする。そして、あの時に感じたゼロからイチをつくる高揚感とはまた違う、日本での8年間の活動の実績を土台にした探索の広がり感が、今の僕には最高に刺激的だった。
この感覚を忘れないうちに、今回何を感じたのか備忘録的に書き残しておこうと思う。個別な出来事を振り返るとあまりにも多すぎるので、特に自分がワクワクした感覚に絞って3点だけ。
1. 国境を超えたビジョンでの共鳴
今回の渡航のメインミッションは、奇跡的な巡り合わせで実現した、韓国語版の書籍の出版に合わせたトークイベントへの登壇だった。

↑ソウルの社会的企業インキュベーションオフィスHEYGROUNDで行われたトークイベントの模様
今から1年ほど前、韓国人の学生20人くらいがオフィスに遊びに来てくれて、クロスフィールズの活動とその背景にあるビジョンについて話をさせてもらった。文化的な背景や社会構造が近いこともあってか、学生たちの反応は想像以上だった。終わったあとにも個別に質問をしてくれる学生があとを絶たなかったが、その中に日本語を勉強している学生がいたので、僕は自分の書いた本をプレゼントした。
後日、ペソンジンくんというその学生から「この本に書かれていることは韓国社会に伝えなければいけないと思いました。ぜひ僕にこの本を翻訳させてください」とメールが来た。僕は冗談半分でOKしたのだけど、それから半年くらいをかけて、彼は本当に翻訳を完遂するとともに、周囲の人たちを巻き込んでクラウドファンディングまでして、なんと最終的に韓国語での出版を実現させてしまったのだ。

↑右側が韓国語版の拙著『내 일을 바꿔 내일을 바꾸다(仕事を変えて、明日を変える)』(小沼大地著・ペソンジン訳)
今回のトークイベントに集まったのは、その出版プロジェクトのコアメンバーたちと、クラウドファンディングでサポートをしてくれた100人くらいの人たち。これだけの人たちが、国境を超えてビジョンレベルで共鳴しているという美しすぎる情景を見て、僕はこの上なく幸せな気分だった。
やっぱり想いこそが人を動かして、社会を変えていく。
今回出会った韓国の友人たちには、そんなことを改めて教えてもらった気がする。

↑今回の出版プロジェクトのコアチームのメンバーたちと。(前列左端がペソンジン)
また、これだけビジョンレベルで共感できる人たちがいる韓国という国で、クロスフィールズとして何かしらの事業を展開しないわけにはいかないなとも強く感じた。
今回、何かしらの協働ができないかということで韓国の複数の社会的企業と打ち合わせをしてきたが、多くの人たちが事前に本を読んでもらってくれていたこともあり、驚くほどスムーズに意気投合することができた。やはり本があると、想いの伝播スピードは圧倒的に早い。きっと遅かれ早かれ、彼ら彼女たちと一緒になってプロジェクトを仕掛けていくことになっていくんだと自然体で思う。
2. 同世代のライバル的な存在との出会い
今回、韓国と香港で合計10人くらいの社会的企業とNGOのリーダーたちと個別に面談をさせてもらう機会があり、そのうちの何人かからは、大きすぎるくらいの刺激をもらうことができた。その筆頭が、MYSC(Merry Year Social Company)という団体とそのCEOであるAbleだ。

↑MYSCのメンバーたちと(左端がAble)
MYSCという韓国の団体は、僕たちと同時期に立ち上がった社会的企業だ。掲げているビジョンや使っている言葉も本当に近しくて、Ableからも「俺たちは生き別れた双子だったんだな」という言葉が出てくるくらいだった。
海を隔てた国に同志を見つけて非常に嬉しくもあったのだけれど、その一方で、実は悔しくもあった。近しいビジョンを掲げて同時期に立ちあがった団体として、僕の目には、彼らの方が活動をダイナミックに展開してきているように映った。また、もちろん規模だけで活動のインパクトは測れないし、アプローチの違いもあるにせよ、年間の予算規模でも組織の規模でも、彼らの方が1.5〜2倍は大きいという感じだ。そして何より、経営者としての落ち着きやチームへの接し方なども、僕よりも数段レベルが高いと感じてしまった。完敗、という感じだ。
でも、なんというか、こういう悔しさを感じるというのも、やはり幸せなことのように思う。こうしてライバル的な存在ができたことで、自分をさらに鼓舞することができる気がする。違う国で同じビジョンを掲げる凄い仲間と切磋琢磨できるというのは、なんというか、最高にエキサイティングなんじゃないだろうか。
3. 実績をベースにした新たな事業展開の可能性
同志でありライバルと出会って自分たちの未熟さを痛感しつつも、やはり自分たちが積み上げてきた8年間での実績は決して小さくはないと感じる場面もとても多かった。
香港をベースにしたGIFTやCrossroads Foundationといった、ダボス会議に毎年招聘されているような国際的に著名な団体の代表とも、今回の滞在中にディスカッションをさせてもらった。突然のアポ依頼だったにもかかわらず、自分たちの活動実績とともに協働に向けて話をしたいと伝えると、忙しい中でしっかりと時間を取ってくれた。そして、僕たちの活動やこれまでの実績を大いにリスペクトしてくれた。

↑GIFTのChandran代表と。

↑Crossroads FoundationのCEO Davidと。
自分としても、以前はこうしたトップレベルのリーダーたちと会うと、どうしても「駆け出しの挑戦者として応援をされる」というスタンスで話をしてしまうことが多かった。が、今回は自分のスタンスとしても、より対等な立場で、どのような連携ができるのかを冷静にディスカッションできるようになっていることを実感できた。これは団体としても個人としても、結構な成長を感じることだった。
実際、今回様々な団体と議論した協働のアイデアは、どれもが実現したら素晴らしいものになると感じられるものばかりだ。正直、それを全部やってしまったら自分の身体がいくつあっても足りないわけだけど、帰国したらチームの仲間たちとしっかりと共有して吟味した上で、できることから一つずつ実現していきたいと心底思っている。
というわけで、これからも機会を見つけてこうした探索的な海外出張には積極的に出かけたいなぁと。
また明日からは、日本で頑張ります!!

香港のインスタ名所、益昌大廈にて。
NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715)
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
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