Taproot Foundation×サービスグラント東京
- Day:2009.11.01
- Cat:会社員時代(アメリカ編)
このNPOが取り組んでいるのは、NPOの世界とビジネスの世界の橋渡し。
特定のスキルやリソースがなくて困っているNPOに、
ビジネスプロフェッショナルがお金ではなくスキルで一定期間貢献するという
「プロボノ(Pro Bono)」と呼ばれる活動を促進している団体です。
誰でもできる単純作業をするボランティアとは違い、ビジネスで培ったスキルをフル活用して
プロフェッショナルとして社会に貢献するというスタイルが、時代にマッチしている気がします。

Taproot Foundationのホームページ
2001年にここサンフランシスコで産声を上げたこのNPOは、
今やアメリカ全土に6つのオフィスを構えるようにまでなっており、これまでに...
・1,000団体近くのNPOを支援
・25,000人のビジネスプロフェッショナルが参加
・50億円相当のサービスを創出
という、凄まじい実績を生み出しています。まさに、世の中を変えている団体じゃないでしょうか。
ちなみに代表のアーロン・ハーストさんは、あのアショカ財団のフェローにも選ばれてます。
そして、嬉しいことにこのプロボノの波は日本にもやってきていて、
日本でもサービスグラント東京という団体が本格的に活動を始めています。
自分にも何かできないかと思い、思い切ってサービスグラント代表の嵯峨さんに連絡してみると、
「今度日本でイベントやるから、それに向けてTaprootの活動をビデオで撮影してもらえない?」
という何とも素晴らしい頼まれごと頂戴することができました。
・・・というわけで、早速、ビデオカメラ片手にTaproot本部に潜入してきました!
今回は、新加入者向けオリエンテーション(2時間くらい)の模様と、
職員の方数名へのインタビューとを撮影してまいりました。
例によって、備忘録的に今回の気付きと感想を書いておきます。

①参加者のレベルが高い!
さて、今回最も驚いたのは、参加者のレベルの高さです。
今回のオリエンテーション参加者の平均年齢はだいたい40-50歳って感じで、
自己紹介を聞いていると、皆さん完全にその道のプロって感じの人がほとんどでした。
それもそのはず、職員の方によると、ボランティアは書類選考の段階で30%程度に絞り込まれ、
残った人の中で特に案件にフィットしそうな人だけがプログラムに参加できるらしいのです。
ちなみに、ボクが勤めている戦略コンサルティング会社の人も沢山参加しているようですが、
どうも、ボクのような若手コンサルタントでは書類選考の段階で落とされる模様。。。
実は何人かプロファイルを教えてもらいましたが、とてつもない重鎮クラスまで参加していました。
とにかく、驚きのクオリティの高さなんです。
そこまで聞いて、そんなに絞ったら人が集まらないんじゃないかと心配そうな顔をしていると、
「ここまでやっても月2回のオリエンテーションはすぐに満席になっちゃって困っているの」
と職員の方。何というか、驚きを通り越した感じですね。。。
すごいウネリが、起きてるようです。
②代表のビジョンに感動!
オリエンテーションの冒頭では、代表のアーロン・ハーストさんが
Taproot Foundationを設立したキッカケについての話がありました。
彼の祖父は、アメリカ版の青年海外協力隊であるPeace Corpsの構想を打ち立てた人で、
「祖父の作ったPeace Corpsのビジネスプロフェッショナル版を作りたい!」という想いが
このTaproot Foundation設立につながったのだそうです。
このエピソードには、青年海外協力隊OBである僕は、胸から込み上げてくるものがありました。
青年海外協力隊のような素晴らしい仕組みを、もっと対象を広げて
日本でドンドン広めていくべきという持論を持っている自分には、たまらない言葉でした。

アーロン・ハーストさん
(残念ながら今回は会えず。。。)
③失業中の人が多い
一方、今回のオリエンテーションに参加した人の中には、失業中の人も多かったです。
おそらく4分の1くらいの人がそうだったんじゃないでしょうか…
失業率が高くなってるとニュースではよく耳にしていたものの、
実際にこうした現状を目の当たりにすると、やはりショックですね。
「時間のある間に、いつもとちょっと違うことをして自分のスキルアップや視野拡大に繋げたい」
っていう層も、Taprootの参加者母体の中には、どうやら結構な割合でいるようです。
この辺りも、一部では有名な
「景気が悪くなると青年海外協力隊の参加者数が急増する」
っていう現象にかなり近いものがあるかもしれません。
④これはきっと日本人の働き方も変える!
最後に、これはかなり大げさで個人的な確信ですが、このプロボノというあり方は、
日本人の働き方をゆっくりとゆっくりと変えていくように思います。
今回のオリエンテーション参加者の参加理由で最も多かった答えは、これ。
「昔は社会貢献に興味を持っていたけど、しばらく遠ざかっていた。でも、Taprootの存在を知って、仕事をしながら本格的にNPOの活動に携われると聞いて、社会貢献の世界に戻ろうと思った」
このニーズ、間違いなく日本にも莫大に存在していると思う。
ボクが日本で運営している若手社会人のコミュニティにも、自分のスキルをいかして
NPOでの活動をしてみたいという想いを持った人間が、ビックリするほど沢山います。
ただ一方で、こうしたボランティアベースの活動には
色々な難しさ(モチベーション維持の難しさ、ニーズのミスマッチ、などなど)があるのも事実で、
それによって、なかなか広まっていないのが現状だと思います。
でも、Taprootやサービスグラントのような頼もしい中間支援団体さえいれば、
こうした不幸なギャップが解消されて、多くの人が自己実現の機会を得ることができるはずです。
このプロボノっていうあり方が定着すれば、
きっと、日本人はもっと楽しく刺激的に働けるんじゃないでしょうか。
+++++
さて、テンションの異常に高いレポートからお分かりのように、
今回のTaprootでのビデオ撮影は非常に刺激的な経験だったわけですが、
肝心のビデオは、12月5日(土)に行われるサービスグラント東京のイベント、
その名も「HELLO, PROBONO!」で上映される予定です。
ボクのビデオはどうでもいいとして、日本人の働き方を変えるキッカケになるであろう
このイベント、とにかく要チェックです。日本の皆さん、今すぐ申し込んじゃいましょう!

サービスグラント東京の特設ウェブサイト
代表の嵯峨生馬さんのメッセージ。ぜひ聞いてみてください!
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