風に立つライオン
- Day:2007.03.11
- Cat:学生時代(海外編)
いやはや、あまりにも色んなことに感動して何を書けばいいのか分からんです。
でも一番印象に残ってるのは、やっぱり
ロシナンテスの代表、川原尚行先生の生き様です。
さだまさしの「風に立つライオン」って歌を知ってますか?
ボクは中学時代の恩師に教えてもらって、以来ずっと大好きな曲です。
(歌詞はこちら→http://www.mtblue.org/music/lyric/lion.php、でも実際に聴いた方が数倍いい)
先生を見てると、この曲は彼のために作られた曲なんじゃないかって思えてきます。

川原先生はスーダン大使館の医務官を辞職し、39歳でゼロからNGOを立ち上げ、
現在はスーダン東部の無医村に住み込んでの医療提供を行っている。
なんでも、高校時代の友人や人脈をフル活用して2000万円をかき集めたとのこと。
豪快で、人を惹きつけるオーラを持っている先生だからこそできた業だろう。
今回、ボクは通訳として先生の横で診療を見させてもらい、
さらに5日間も同じ部屋で一緒に寝泊りさせてもらった。
で、正直な感想としては
国際医療の現場はそんなに格好いいものじゃなかった。
村人たちは日本人の医者にありとあらゆる期待をして、
診療時間外にさえ次々と押しかけてくる。
「大至急来てくれ!大変だ!」
夜中にそう言われて駆けつけても全然大したことない、そんなことは日常茶飯事。
イライラすることが多いし、とにかくストレスが溜まってくる。
それでも一日に数人は必ず運ばれてくるマラリアその他の重症患者のため、
川原先生はニコニコしながら辛抱強く治療を続ける。
村まで片道6時間のハードな道のりを自分で運転して、完全に疲れきってるのに…。

↑マラリアに罹ってた赤ちゃんとお母さん
この原動力になってるのは一体何なのか?
それは多分、先生がスーダンの人を敬う気持ちだと思う。
電気もなく、水道もない村。
子供たちはみんな裸足だし、着てる服も汚い。
住環境や衛生面もかなりヒドい。
多分なんかのデータを取ったら間違いなく「貧困に苦しむ村」だろうし、
マスメディアが取材したら「かわいそうなアフリカの人々」ってなるかもしれない。


でも、先生の目に移ってる村人たちの姿はきっと違う。
泥臭いけど、でも幸せに、家族や友人に囲まれて暮らしてる人なんだと思う。
日本人がどこかで失ってしまった「何か」を持ってる人だって、先生は知ってるんだと思う。
だからこそ、「援助」って言葉が大嫌いな先生はいつもこんな風に言う。
「俺はスーダンの人たちと一緒に転がっていきたいだけなんよ」

↑井戸の水を楽しそうに運ぶ女の子

↑破れた窓で遊ぶ女の子
恥ずかしながら、ボクも将来は先生のように自分で組織を立ち上げたいと思ってる。
そんなボクにとって、先生はまさに「風に向かって立つライオン」だった。
「さだまさしの曲、先生のイメージにピッタリっすね」
帰りがけにそう言ってみると、先生はちょっと照れながら答えた。
「バカヤロー。大事な人を捨てるような人間にはなりたくねーよ」
さだまさしの曲の主人公は、愛する人と別れて異国の地で診療してる設定なのです。
でも、先生には日本で帰りを待つ最愛の奥さんと可愛い3人の子供たちがいる。
息子や娘の話になると単なるバカ親父に早変わり。
「将来こんな人になりたい」
心からそう思える人にここスーダンで出会えて、ボクは本当に幸せです。
明日から陸路でエチオピアに向かいます。
最低でも丸4日は乗り心地最悪のバスに揺られる予定。
あぁ、気が重い・・・
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