C世代とは誰か
- Day:2012.01.09
- Cat:NPO関連エッセー
今日はちょっと自分も真面目なことを書いてみたい。
この正月の新聞各紙の特集には、若者の変化にスポットライトを当てたものが多かった。
特に日経新聞では20-30代の若者を”C世代”と呼び、かなりの話題になっている。
日経新聞によるC世代の紹介:
コンピューター(Computer)を傍らに育ち、ネットで知人とつながり(Connected)、
コミュニティー(Community)を重視する。変化(Change)をいとわず、自分流を
編み出す(Create)。ジェネレーションC、未来へ駈ける。
実は僕も世代論には以前から興味を持っている。特に、いまC世代と称されている、
29歳の自分と同世代の人間たちは、世代としての共通の原体験を持っているのでは
ないかと思い、これまでずっとこの世代について考えてきた。
C世代とは、小・中学校時代に阪神大震災を経験し、そこからNPO法人や
社会貢献活動が爆発的に日本社会に定着していくのを見てきた世代だ。
また、大学時代には9.11やITバブルの崩壊を間近で経験し、お金を儲けて
幸せになるという価値観の崩壊も、肌感覚として経験している。
こうした世代としての共通経験の結果として、C世代の人間たちは、
「社会を変える」ことにこそ生きる意義を見出すようになり、
社会起業家的な働き方を始めるに至ったのではないかと僕は考えている。
先述の佐別当氏の記事では、このC世代を更に「第一世代」と「第二世代」とに
分けて論じられている。(僭越ながら、記事では僕についても触れて頂いている…)
駒崎弘樹さん(32)のような就職経験なく社会起業を立ち上げてきた人たち、
働き方革命のイベントでもご一緒する盟友、育て上げネットの工藤啓さん(34)の他、
NEWVERYの山本繁さん(33)、かものはしの村田早耶香さん(30)、
マザーハウスの山口絵里子さん(30)が活躍しています。
彼ら社会起業家という言葉がほとんど知られていない頃から、想い一つで
起業した世代を社会起業家第一世代と呼ぶと、第二世代は「C世代駆ける」でも
紹介されていた転職を経て社会起業した人たち。
Learning for allの松田悠介さん(28)は、
体育教育→ハーバード教育大学院→プライスウォーターを経て起業。
クロスフィールズの小沼大地さん(29)はマッキンゼーを経て起業。
HASUNAの白木夏子さん(30)は、投資ファンドを経て起業。
第2世代が今後さらに活躍し、増加するのは想像に難くありません。
さて、ここで僕はちょっとした違和感を覚える。
C世代とは、就職をせずに社会起業家になった人たちや、
会社を辞めて社会起業家になった人たちだけのことを指すのだろうか。
僕は、そうではないと思う。
C世代の大部分は、大組織で働くビジネスパーソンたちだ。
彼らは、「働くことを通じて社会を変えたい」という情熱を胸に秘め、
日々、懸命に目の前の仕事に取り組んでいる。もちろん、大組織の壁に
阻まれて上手く情熱をカタチにできないことは多いけれど、
それでもどっこい頑張っている同世代の仲間は、本当に沢山いる。
そして、これから本当の意味で社会を本当に変えていくのは、
第一世代や第二世代ではなく、間違いなく、大組織で働く仲間たちだ。
(彼らを勝手に"第三世代"だと名付けさせてもらうことにする)
彼ら第三世代には、大組織のリソースを動かすことができる。
これは、第一世代や第二世代の社会起業家たちにはできないことだ。
組織の中にいるC世代の仲間たちが、大組織の持つ力を存分に活用する
ことによってこそ、社会は初めて変わっていくのではないだろうか。
ただ、それには第三世代が胸に秘めた情熱を保ち続けることが大切だ。
僕がコンパスポイントというコミュニティやクロスフィールズという
組織で実現しようと思っているのは、実は、この一点に尽きる。
自分が敬愛する仲間たちの多くが、胸に秘めた情熱を燃やし続け、
その情熱をカタチに変えることをお手伝いするのが、僕のミッションだ。
もちろん、第一世代や第二世代が社会を変えられないとは思っていない。
自分たちの役割は、既成概念に縛られた社会に風穴をあけることだ。
小さな穴もなければ、何も始まらない。穴をあけることには、大きな意義がある。
それぞれが、それぞれの立場で、それぞれの役目を果たせば、
明日の社会だって確実に変わっていくと、僕は思うのです。
というわけで、C世代みんなで、未来へと思いきり駆けていきましょう!
NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715)
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